豚足ヲ食スナラバ、作法ヲ心得ル事、肝要。
塩、胡椒ニテ祓イ清メ、焼キ上ゲル也。
党綱領に記された豚足食いの作法は、塩・コショウをして焼き上げるとなっておる。九州では、茹でた豚足をばらして酢味噌で食べるということはしない。焼鳥屋では、じっくりと焼かれた豚足を「熱ちぃ!!(-0-;」などと言いながら手でつかみ、身と骨をばらしながら食べるのである。
しかし家庭において豚足を食べる場合に大きな難関が立ちはだかっていた。焼鳥屋で出される豚足の焼き加減が再現できないのである。皮は若干カリカリに、中味は油がじゅくじゅくと染み出て、身と骨がすぐ離れるという絶妙な焼き方である。
家にあるガスコンロで、さまざまな試行錯誤を重ねた上に到達した、豚足の焼き方が下記である。結論に到るまで豚足半身×10個を費やした。
家庭での焼き方のコツは、焼鳥屋のコンロのネタと火の距離感をいかに再現するかにあった。
■塩コショウをした豚足。
九州では生の豚足を長時間茹でて柔らかくする。スーパーなどの店頭に並んでいるのはすでに茹でられたものである。これに既製品の「味塩・コショウ」などをふりかけ下味をつける。
■厚手の魚焼き用の鉄板の上に、アルミホイルを丸めたものを二つ載せる。その上にさらに豚足を載せて焼く。
■側面から見たものがこれである。二つのアルミホイルの枕の上に載った豚足がご確認いただけよう。豚足を直に鉄板に当てると表面だけが焦げて、中まで焼けない。
写真はないが、この上から広めのアルミホイルを一枚被せて密閉状態にして蒸し焼きにする。
■焼き上がり。計測したところ、表裏合わせて20〜30分の焼き時間が必要であった。
鰻ではないが、ひたすら長い焼き上がり時間に耐えて食すのも、「愛足」秘儀参入の試練といえよう。