2001.03.07 開講
本学の笑学部、焼酎産業学科の教授であります、杜 伊蔵でございます。本日もよろしくお願いいたします。

さて、今日は公怪講座としまして、先日某全国紙サイトで取り上げられておりました、ウォッカの急激な伸張現象について考える中で、本格焼酎を取り巻く酒界の生態系の変化について考えてみたいと存じます。

まず記事は3月6日にasahi.comで報じられたもので『女性が後押し ウオツカの輸入が過去最高に』という表題であります。

内容につきましては、

「ウオツカの輸入が昨年、過去最高を記録」
「2908キロリットル、11億1200万円分と、前年に比べ量で6%、金額で15%増」
「輸入元1位はロシアではなく米国だった」
「輸入増の立役者は若者を中心とするカクテルブーム。バーに限らず居酒屋でもカクテルが幅広く飲まれるようになったことが背景という」
「大手居酒屋チェーンの担当者は「女性がリードし、その分、焼酎(しょうちゅう)などの売れ行きがあおりを受けている」と話している」

と続いておりまして、私がとても関心を持ちましたのは、輸入元の1位がアメリカであり、女性がリードし、ウォッカの伸張とともに焼酎があおりを受けているという箇所であります。

さて、この記事ですが発信元は東京税関でありまして、実際のデータをそのHPで当たってみました。(http://www.tokyo-customs.go.jp/etu/ftp/vodka.html)

このページにあるデータは残念ながら昨年12月発表のため、平成12年度については10月までの数値しかなく、新聞記事の数量と価額に差が出ておりますが、増加はすれ減少はしておりませんので、全体の傾向は把握できるものと考えます。

◇    ◇    ◇

この東京税関が提供しているウォッカの輸入数値、これは全国でのものですが、これを見ておりましたら、大変面白いことに気がついたのであります。私がデータを元に作成したグラフがレジュメにありますので、ご覧下さい。

(教室:ザワザワザワ・・・・)

(図1/ウォッカ全体の輸入数量と価額)

これはウォッカ全体の輸入数量と価額の推移でありますが、私の方で平成12年については先の記事の数値に修正をしております。グラフを見ますと、平成6年より急激に延びを示しておりますが、平成12年は先の記事の通り、数量で3000キロリットルに迫り、価額も10億円台を突破しております。

全体の傾向として、東京税関では「若者層にオシャレでピュアな酒として人気が高い」と分析しており、また業界筋の情報として

「近年のカクテルブームを背景にカクテルベースとして業務用の需要が高いこと」
「他のアルコール度数の高い酒に比べ安価であること」
「若者層にオシャレでピュアな酒として人気が高いこと」

を挙げております。「オシャレでピュア」とは、どこかで聞いたような形容詞ではありますが、居酒屋でもカクテルが飲めるという意味では、酎ハイからカクテルへのチェンジが強まっている状況が伺えると言えるでしょう。

まさにこの急激な伸張はウォッカの人気を裏付けるもの言えますが。私が考えたいのはその先であります。

下記のデータは輸入国別の数量および価額の推移を示すグラフでありまして、平成12年については数値が判明しないため、東京税関の公表データのまま1月から10月までのものとしております。

(図2/輸入国別のウォッカの数量)

(図3/輸入国別のウォッカの価額)

これで見ますと、アメリカ以外の各国からの輸入数量・価額の増加はそれほどではなく、逆にアメリカからの数量および価額が爆発的に増加していることが、顕著に現れております。まさにウォッカというよりも“アメリカ産ウォッカ”の1人勝ち状態であることが、明かであります。

ところが東京税関のページをご覧いただいた方は解るとは思いますが、東京税関が作成した輸入国別の割合を示すグラフは100%積み上げでありまして、実数で見ますとアメリカからの輸入が圧倒的に急増しているという実態が理解できるわけであります。

◇    ◇    ◇

というわけで思い出されますのが、3段階ロケット式の本格焼酎の増税、であります。最終仕上げの昨年10月が昨日のように胸をよぎるのであります。

本格焼酎の増税は、洋酒との酒税格差を無くすことを狙いとして行われたわけでありますが、段階的増税を追ってアメリカからの輸入数量・価額の増加が比例している不思議さ。その段階的増税の真の目的がどこにあるのか、それがそこはかとなく理解できるような、ウォッカ増殖の跡と申せましょう。

というわけで、フィッシング愛好家によるブラックバスの放流が、日本の湖沼における在来魚の生態系に異変を招いたわけでありますが。アメリカからのウォッカの来襲・・・、中小蔵元が多い本格焼酎の生態系に与える影響は少なくない、と不肖・杜伊蔵も感慨を新たにした次第であります。

というわけで、なにかご質問があれば、承りますが・・・

・・・はい、前から3列目の方。

(受講者:センセ。カクテルは、普段はなにを飲まれてますか?)

『鏡月』ベースの「SOUEL MULE」をよく飲みますね、はい。

(教室:おぃおぃ・・・(-ー;)



※これはフィクションであり、実在する個人・団体・商品とは一切関係はありません。


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