2003.06.05 by 猛牛

■序説:愛飲人系亭主族の「酒政学的対決」の必然性

家庭内における焼酎瓶の増殖を考えるに、愛飲人系亭主が押し進める生存圏の急激な拡大に対して、非愛飲人系伴侶がその生存圏を共有している場合、その伴侶との「酒政学的対決」が不可避となるのは、これまでの数多の夫婦間に展開された飲酒闘争の歴史上の教訓なのである。

増殖し溢れんばかりの壮大なる収集瓶の伽藍。それが膨大であればあるほど、愛飲人系亭主族の胸中に崇高さと偉大さが溢れ、己が精神と肝臓にひしと凄烈なる魂が宿るのである。まさに「血と瓶」の優越。

しかしながら、愛飲人系亭主の極端な収納領土拡大が、非愛飲人系伴侶の生存圏を圧迫し、大いなる反発と抵抗を招来することは必至であり、その結果、夫婦間における“最終的解決”を伴侶より持ち出される可能性が予見されることも、これまた火を見るより明らかであらふ。

■酒政学的領土拡大を図る解決策・・・「梅酒づくり」

さて昨今。

愛飲人系亭主族が取り得る“最終的解決”を回避する政治的協調路線として、また非愛飲人系伴侶に対してその健康美を体内から増進できるという大義名分づくりとして、焼酎生存圏の増殖を一見回避したかに見せながらも着実に酒政学的領土拡大を図る解決策が、愛飲人系亭主族から熱い注目を浴びている。それは「梅酒づくり」である。

まずはここで、去る6月1日に実施された梅酒電撃戦(britz kreig)の模様、その実施手順をご覧いただこふ。

◇    ◇    ◇

作戦の基点は、梅からの不純分子の摘発と粛正から。爪楊枝の先端部を使用してその除去を行う。梅は我が家の“総統”である伴侶の実家で実ったもの。地産地消・・・筑前人の純血を重んじる。「夫婦(みようと)で作業に勤しむもまた楽しからずや。うんうん」と、総統を誘う。が、「量的に一人で充分。何故に誘うや?自ら勤しむべし」と淡礼辛口。なれど強引に共同作戦へ・・・。

ここで総統、農家出身という軍事的経験値が遺憾なく発揮される。単一時間内で浄化された梅の量的比較。下記左はわて、右は総統。まさに梅酒づくりにおける農本主義的勝利の凱歌であらふ。YA!
貯蔵用の瓶、値五百八十円也。
大衆的普及を考えたVolks価格である。
明治の梅酒・果実酒用氷砂糖。現在は需要期という事もあり最初に行った店では売り切れていた。
■肝心の焼酎は、
 V兵器・・・正調粕取焼酎『ヤマフル』。

ここで、いよいよ肝心要の“V兵器”、漬け込み用焼酎の登場である。実際に筑前のある蔵でその威力を痛感した、正調粕取焼酎による漬け込みを発動することとする。

鳴滝酒造工廠謹製、『ヤマフル』35度を発射台に具える。世界初の誘導ミサイル『V2』の雄姿もかくや。

これまで梅酒づくりにおいて酒政学的領土拡大の極限に到った“白色蒸留酒族”への反攻が、ここに開始されたのである。わて、台所前にて演説。

「正調粕取焼酎にて漬け込んだる梅酒の味、香り高く、味わい深く、その陶然とする余韻、唯一無比!肩を並ぶる物無し! 伝統伝来、まさにVolksの風味を堅持するものなれど、甚だその飲族の美風を忘れたるは悲しきかな。
ここに反攻の時、遂にキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!!!」

総統、呆れ顔で瓶を熱湯消毒する。

梅および氷砂糖を丁寧に入れて、積み重ねる。ちなみに『ヤマフル』1.8L一本に対し、梅1キロ、氷砂糖1キロの割合。多少甘めか。
『ヤマフル』を注ぐ。梅酒は最低でも1年は貯蔵すべきといふ。特に正調粕取使用時は、蔵元諸氏のお話でも3年は兵器庫での貯蔵を行えば、真に旨し梅酒が味わえるとのこと。

注ぎながらさすがに“惜しい”気がして、一旦作戦を中断。小型硝子杯に少々注ぎ、一杯飲ることに。「ん〜〜〜〜ん!35度のキック。しかしながら『ヤマフル』らしい上品で爽やかな後口。ああ!旨ぇや、こりゃ!」・・・と一人しみじみと得心していたら。総統が、

「あんた。な、何やってんの?(@_@;)」

■もう一本買うことこそ、肝要

さて、上記プロセスにおいて、酒政学的領土拡大を図る解決策とは、一に梅酒への転換を行って美酒を増やすことがまず言えるが、隠された施策として1.8リットル瓶2本を買っておき、1本は使わずに秘匿するということが肝要と言えよふ。

まず伴侶との酒販拠点探索時は、嫌な顔をされることは必定。しかしながら「梅酒造り」用に2本購入なら酒政学的対決を招来する可能性も低く、領土拡張も極秘裏に展開しやすいことは論を待たない。

ま、ただし問題は、梅酒のシーズンを過ぎたら「どないすんねん」ということは懸念されるべきところではあるが・・・。


九州焼酎探検隊TOP