解説 九酎産業大学 笑学部焼酎産業学科教授 杜 伊蔵

『東都焼酎三十六景 神奈川沖そらきゅう』 2001年7月16日

北斎の名作を安易にもじったという、考えの無さはいかんともし難いものがある。しかしながら、「そらきゅう」という地方色豊かな酒器が、逆に全国的存在である富士山に置き換わるかもしれない、という本格焼酎人気の異常なまでの高まりを象徴的に表しているかのようだ。

『PLANET OF THE NONGOROS』 2001年7月27日

SF映画の傑作『猿の惑星』の有名なラストシーンを引用したサタイア。飲兵衛だらけになった惑星、そこに残された前時代の遺物が示すものとは? 本格焼酎ブームの後にやってくるものが、我々飲兵衛にとって良き時代であることを祈念したいものだが、「それから」どうなることか・・・。

『Nonkata of Adam & God』 2001年8月02日

ミケランジェロ作のあの有名な壁画をベースにした、雄大な“飲んかた”創造の原点をイメージさせる作品。酒と宗教との長く深い関係性を想起させるものとなっている。その稚拙さ・安易さ故に、不謹慎との意見も飛び出しそうだが、ルネッサンス期の巨匠に対する暇牛の尊敬の念が伺われる。

『バブルの塔』 2001年8月22日

ブリューゲルの著名な作品『バベルの塔』をベースにしたもの。人間の浅はかさを象徴する屹立した塔の上に、なぜか広告塔が建っているというシチューエーション。これはなにも銘柄そのものに問題があるのではなく、天まで届かせてしまう人間たちの「信仰」を寓話的に描いたものであろうか。

『こう見えても探険隊は読んでいる』 2001年9月07日

マルセル・デュシャンの「レディメイド」作品の中でも有名な『L.H.O.O.Q』を“レディメイド”として引用した作品。大量複製文化の時代における芸術作品の「作家性」とは何か?という問題を突きつけたと言われる“原作”に、どこかで見たようなコピーの“半オーダーメイド”を蛇足したもの。問題外。

『酒屋のウィンドウ』 2001年10月26日

ある日、何気なく目にした酒屋のショーウインドウに、なぜかモンドリアンの作品を“幻視”してしまったという暇牛の超現実的体験が元になっているという。店内に入って確認した“シュールな価格”に対する悲憤慷慨は正面から描かず、黒く太い枠線と白地が醸す静的構成に深く湛えられている。

『圓のレッスン』 2001年11月28日

中世オランダの画家フェルメールと球磨焼酎『圓』の取り合わせ。日常の何気ないシーンを写実的に描きながらも、その光と影の絶妙な表現でシュールレアリスティックに感じる作風が持ち味。原酒と年月、そしてアート感覚溢れた『圓』とのマッチングを追求したというが、やはり安易の誹りは免れまい。

つづく

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