2002.09.19 by goida

銘柄
度数
原料
原産
若宮錦
25度以上26度未満
清酒粕
福岡県鞍手郡若宮町大字金生279番地
石井産業株式会社
製品的特徴
捕獲者
評者
レッドブック度
なつかしい酒粕の香り
猛牛
goida
終売・消滅
■評者雑感

●当該銘柄について
「福岡県W町I峠・・・。」

古いトンネルが木曜の夜8時からの奇跡体験番組で紹介されたという印象しかない若宮町なのだが、自治体のHPによると結構面白そうな土地であるようだ。

船や四神獣など装飾を持つ「竹原古墳」などの大小600基の古墳が点在するだけでなく、平安時代創建の「若宮八幡宮」、「十一面観音菩薩坐像」で有名な「清水寺」など、古くより筑豊の中心地であったことが伺い知れる。幕末には、頻繁に近海に出没するようになった異国船への備えから、燃料となる豊富な木材のある「犬鳴」地区で「タタラ場=製鉄場」が黒田藩によって形成された。

現在の若宮町は、四方を山地にかこまれた自然豊かな町である。この若宮町にある「石井産業株式会社」の創業は1744年。酒造りに最適な環境の中でレギュラーの「富久鶴」をはじめ大吟醸酒「三十六歌仙」などを造っている。この蔵元では原酒の熟成のために防空壕跡を「貯蔵室」として利用しているらしい。

この粕取り焼酎は「博多の奥座敷」、「北九州の奥座敷」として知られる「脇田温泉」で発見された(「『錦』、最期を飾る」より)。既に終売とのことだが、仙人隊員による発見、探検隊決死隊による捕獲の末、なぜか私の手元にあったりする・・・。感謝です!!

それでは、この「若宮錦」。その味たるや如何に・・・?!!

●ボトルデザイン:
ラベルには十二単をまとった女性の絵を見ることができる。これは町内の「若宮八満宮」に伝わる「三十六歌仙絵」と関連しているのだろう。作者は、「浮世絵の祖」といわれる岩佐又兵衛勝衣。寛文13年(1673年)の頃に京都にあったものが文化年間(1810年代頃)以前に若宮に伝わったとの記録が残っている。

だが、経緯など詳しいことは解らないらしい。私には残念ながらこの絵が誰を描いたものなのか解らなかった。小野小町か伊勢、それとも・・・。(同蔵では清酒についても三十六歌仙と関連のある銘を付けているようだ。)

日本伝統の色を用い、まさに奈良・平安の時代を連想させるような配色である。じっと見ながら中世の貴族の生活というものを想像していたら、頭がくらくらしてきた。その配色のせいなのか、「なつかしの粕取り焼酎」という文句も筆書きの銘柄銘も印象が薄い感じだ。

●香り:
癖のある、されど甘い香りが立ち上ってくる。最近はライトタイプの「鹿の子」を飲んでばかりいたため、余計しっかりとした印象を持ったのかも知れない。しかし、それを考慮に入れてもなかなかいい感じだ。

もはや粕取りに対する抗体を保有しているため、封の開いた瓶を握ったまま中空を仰いだり・・・。(怪しいですね。)

●味わい:
まずは生で。ヌメりとした独特の感じで舌を這う。その後、しばらくもどかしいような甘さが残るのである。今後これが飲めないと思うと・・・。

ロックだとつんつんした部分が和らぎ飲み易くなる。こんなにおいしいのに・・・とつぶやいてみたくなる瞬間。粕取りはロックで飲むのが一番好みです。

裏ラベルにはお湯割りも推奨しますという内容が書いてあったので、せっかくだから試してみた。甘味が強まり飲み易いのだが穏やかすぎてちょっと物足りない感じだ。

●レッドブック度:
蔵に問い合わせてみたところ、やはり終売とのことであった。今年の4月から5月に造ったのが最後。今後は製造の予定は全くないとか。電話にて対応していただいた女性職員の方によれば(社長が不在とのことではっきり解らないらしいが)、免許の方も返上したという。

店頭在庫のみとなったこの焼酎。これは4合瓶だが、当然1升瓶でも販売されていたと思われる。地元ではどのような位置づけをされていた物なのか気になるところも多い。種々の理由はあるにせよ、消滅することの寂しさ。「あーあ(T_T)」である。

せめて、この拙文が供養になることを・・・。


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