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■評者雑感
●当該銘柄について: 粕取焼酎『鹿の子』を造る『(株)八鹿酒造』はこの駅のすぐ近く。駅を出てほぼ正面にタンクや「やつしか」と壁に書かれた建物が見えるはずだ。 元治元年(1864年)創業の八鹿酒造は『笑門八鹿』を世に送り出す清酒蔵である。ホームページによると平成13年、14年と国税庁の新酒鑑評会において金賞を受賞しているそうだ。 また、減圧蒸留の麦焼酎に常圧の全麹仕込みの麦焼酎をブレンドした黄色いラベルの麦焼酎『なしか』(大分弁で「何故?」という意味)や、大麦と大麦麹100%を原料に使用した「銀座のすずめ」など、焼酎の製造も行っている。 さて、問題の『鹿の子』であるが、蔵のある大分県からは遠く離れた福岡県前原市のある酒屋で購入した。なんだか因縁めいた物を感じる焼酎なのであるが、その味や如何に・・・。 ●ボトルデザイン: ラベルにはおそらくは蔵の近くを流れる玖珠川であろう。ゆったりとした川の流れに朱い紅葉の葉が散っている。そういえば九重町は「九酔渓(これは鳴子川流域だが)」など紅葉の名所が散在している。 ちなみに『鹿の子』という酒名の由来だが、蔵元に問い合わせてみたところ「清酒・八鹿の造られた酒粕を原料に出来た焼酎ということから鹿(しか)の子=鹿(か)の子と命名した」との回答をいただいた。 また八鹿酒造には別の粕取焼酎が存在する。『きじ車』がそれだ。蔵によれば、吟醸粕取をブレンドした15年ものの「古酒」。貯蔵することにより、個性ある粕取焼酎の風味にまろやかさが生まれるらしい。 ●香り: どちらにしても、かなり大人しいタイプの焼酎であることが想像された。 ●味わい: ロックで飲んでみたが、より軽快さが増すようであった。 ●レッドブック度: 実は粕取にしては軽快すぎる味わいがずっと引っかかっていた。そこで蔵元に問い合わせてみた。蔵元からは以下のような回答をいただいた。 「本来、粕取焼酎は大変個性のある味わいが特徴の焼酎ですが、蒸留技術の進歩・お客様のニーズ等により、昔に比べ軽快に飲めるタイプへ変化をいたしております。当社においても以前はモロミ(清酒粕に水を加え発酵させアルコールを高めたもの)を籾殻にまぶし、熱を加えて蒸留する方法を取っておりましたが、現在は、清酒粕100%を原料にウイスキーの蒸留と同じポットスチルによる蒸留を行っております」 蔵からのいただいた回答によれば、かつては田植えや盆などの人が集まる時期に、飲み易いよう「砂糖を入れて」飲まれていたそうである。しかしながら「吟醸粕取」の台頭が示すように、現代の粕取焼酎は飲み易い方向へと向かっているようである。 なお、面白いことに地元大分では20度が主体で売れているそうだ。なお、販売形態は1升瓶のみで20度・25度の2種類だという。 上記のように蔵元からの回答によると100%清酒粕製であるのだが、私が購入した瓶のラベルには「清酒粕・清酒」と表示されていた。瓶詰め時期を示すものが存在しないことから、その真意を確かめることが出来ないでいる。これは今後の課題となった。 この「鹿の子」。製造法からすると探偵団の提唱する“正調粕取”の範疇からはみ出してしまうようだ。しかしながら、その性質から敢えて取り上げたい。 粕取焼酎は概してパンチの利いた物が多い。これが元で敬遠される方も多いと思われる。しかしながら、大人しい性質の「鹿の子」はこれから粕取焼酎を飲もうとする方に受け入れやすいのではないだろうか。つまりは「粕取入門酒」としておすすめしたいと思う。 |
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