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■評者雑感
●当該銘柄について: この名前の長さには訳があって、まずは木製のセイロで籾殻を混ぜた酒粕を蒸し、兜釜でアルコール分を受ける・・・という、文字どおり古式床しい蒸留法によって造られているのがまず一つ。まさに誉れ高き“ド正調粕取焼酎”なのである。 杜の蔵さんが古い器具を補修して正調粕取に再挑戦した経緯は、こちらに詳しい。 さらに梅酒用と銘打ってあるのは、北部九州では古くから正調粕取焼酎の35度で梅酒が漬けられていたからで、今日でも極々わずかだが梅酒需要で正調粕取は売れている。昨年、goida隊員とともに、佐賀県の探索を行った際、武雄市の酒屋にこれが置いてあってびっくりした経験がある。粕取で梅酒を漬ける風習がまだ残っているのだろう。 実際に本品で漬けた梅酒を杜の蔵さんで飲ませていただいたが、それがいかに素晴らしいものだったか、先のページに触れている。これは、もぉ体験していただくしかない。あまりに美味すぎて、今年わては正調粕取で梅酒を漬けてしまったほどだ。 次に『常陸山』だが、これは杜の蔵さんのもともとの粕取銘柄ではない。同社の銘柄は元来『弥満の誉』(現物は、昨年夏福岡県在住の仙人さんより御寄贈。某氏に送付するも、その後行方不明)だった。 同じ町内の同業である塚本弥寿一郎氏が造っていたものが「常陸山」で、塚本氏が廃業する際に杜の蔵さん(当時は森永酒造)にこの名称を残してほしいと託されたという。森永社長は自社の『弥満の誉』を廃して『常陸山』を引き継ぎ、三瀦の粕取銘柄の血脈がひとつ現在にも遺されることとなった。 同様に、杜の蔵さんが九州進醸さんから引き継いだ銘柄名に『香露』がある。ちなみに九州進醸の社長でいらっしゃった小野博正氏は、今年の春鬼籍に入られた。合掌。 というわけで、正調粕取が時代の流れにその数を減ずる中、地元のご老人から「昔の粕取焼酎は美味かった」という述懐を聞いて正調粕取復活に挑戦された杜の蔵さんの、これはまさに偉業とも言うべき作品である。 ●ボトルデザイン: まぁ、とにかくデザインの善し悪しを超えて「そこに在るだけで感涙です」という感じか。どっしりとした筆書き文字の『常陸山』、文句ありまっしぇん。 ●香り: 先日、博多中洲のまりりんBARでこれを飲んだとき、ちょうど隣りに関西からいらした二人のお客様がいた。焼酎歴は長くなく、正調粕取焼酎はもちろん未体験。で、ものは試しとわてが飲んでいたお湯割りを勧めてみた。生よりもさらに香りが立つお湯割りは、お二人とも鼻を持っていっただけでまずダウン。「う・・・あかんですわ」であった。 どの焼酎でも同じだけど、やっぱり馴れの問題でしょうね。現にまりりんの福田マスター曰く、「いまね、この『常陸山』が動き出した。よく出るようになった」と。 ●味わい: 特にお湯で割った場合の、後口に広がるとんでもなく深い甘味は凄い。ボワーーーーン!と膨張する含み香に、粕取宇宙創造のビッグバン!を見たのはわてだけ、だらふか? さすが古式蒸留の威力が効いてるのか、アタックと持続力を持った味は絶品だ。 ●レッドブック度: ただし、この商品は扱い店が限られているので、あまり見かけない。筑前でもわての家の近所にある酒販店で一軒だけ店頭化していた。もともと正調粕取なんて置いてる店がほとんどありゃぁせんのだから、まぁ仕方ないか。生産量自体も古式だから限られるし。 なにはともあれ、ぜひ一度試していただきたい。もし口に合わなければ来年の春まで取っておいて、これで梅酒を漬けていただきたい。絶対に損はないと信じます。 |
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