正調粕取焼酎 まぼろし
2005.11.20 by 猛牛

池田
銘柄
度数
原料
原産
純粕さなぼり焼酎常陸山
32度
純米酒粕
福岡県久留米市三瀦町
株式会社杜の蔵
製品的特徴
捕獲者
評者
レッドブック度
正調の王道。芳醇でまろやか
猛牛
猛牛
現存
■評者雑感

●当該銘柄について
梅酒用の『常陸山』については以前書いたが、小容量で発売されていた「早苗饗(さなぼり)焼酎」と銘打たれた商品については触れていなかった。今回、あるお店でこの作品に遭遇したのだが、出土品総覧のページですでに掲載している物からボトル形状からラベルそして容量まで変化しているようで急遽購入、んで紹介することとしたい。

杜の蔵さんの正調粕取焼酎(同社では古式木製セイロ蒸留の粕取焼酎と称す)の復活においてパイオニアであり、同社の決意と実践のおかげでわてらも正調粕取の恩恵に浴している。その意義についてはこれまでにも延べているのでここでは繰り返さない。ただただ感謝と申し上げる他ない。

リパッケージについて特に力が入っているのが、ラベル横の但し書きが極めて充実したこと。正調粕取焼酎が江戸中期から早苗饗焼酎と称され田植えの後に飲まれていたことなど、地元の農村文化と深い関係にあった事情を28字×8行=224文字の大分量で解説してあるのだ。これはとても大切なことである。

なお、当該商品のラベルには文化的背景を説明するに留めている。正調粕取焼酎が滅亡の危機にあることはあえて触れられていない。

味の好みは別問題、人それぞれとしても、正調粕取焼酎が滅亡の危機にあることがラベルに書いてあると単に蔵元の宣伝文句としてしか受け取らない御仁もケッコウ居たりするから、この問題はちょいと微妙である。これは蔵元さんらの啓蒙活動の必要性もあるが、非力ながらも、わてはやはり声を大にして言い続けるつもりだ。

無くなってから重宝がる・・・というのが、この國の人の常だから。

●ボトルデザイン:
今回リパッケージ成った『純粕さなぼり焼酎・常陸山』だが、まず改修以前の透明ボトルからどちらかというと黒ボトルに変身、さらにダークブラウン調の重厚なラベルが目を惹く。前作よりも高級化というか本格志向が強くなり、瀟洒な印象の透明・形状だったものから、なにか無骨さが漂っている感じがする。ま、正調粕取、それでエエのだ、と納得。

●香り:
香りは意外と大人しい、優しい感じがする。というか、わての鼻がもう正調粕取の香りに馴れ切ってしまって、余程じゃないと鼻がねじ曲がった感じがしないちゅーのもあるかも(苦笑)。

それともう一つは、この商品が3年寝太郎であるということが関係ありそう。というのも、ラベルに記載された会社所在地は久留米市三瀦町となっており、2005年2月にそれまでの三瀦郡三瀦町は久留米市と合併しているから、すくなくとも今年の2月以降の出荷の商品だ。しかし蒸留年月日は2002年3月で、現時点で3年以上は寝ている。

つまり正調粕取としては、3年寝ていることで飲み頃として旬が始まる時期であり、香りも味もこなれた状態となっているのだと言える。

●味わい:
状態としては先の項目で書いたのでいわずもがな、やけんども。口に含むととても香り高く、ほわぁ〜〜〜んと広がる正調特有の香気がぬぅあんとも言えない。そして後味がとても甘い。梅酒用と比べるとちょびっと度数が低いのもあって、飲みやすいのではないか。上品な仕上がりと思う。

いまこれを書きながら4杯ほどお代わりをしている。口に含むとなんだか唇の端が弛んで、手前ぇの顔がニンマリとなっている。旨い。

芋焼酎を飲むともう前には戻れない・・・とよく言われるし、わてもそう思っていたけど。じゃけんども、その言葉をわては正調粕取に捧げることにした。これにハマると他の酒が物足らなくなる、ほんと。

●レッドブック度:
極めて現役。これからもずっと現役であっていただきたい。販売されている店は限られているだろうけども、でも探して一回味わっていただきたい。もし今口に合わなければ「損をした」と思わずに、ダマされたと思ってクローゼットや押入れの中でそのまま保存し、また思い出した時に舐めてみていただきたい。

正調粕取は寝かせれば寝かせるほど、美味しくなるのだから。


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