2002.10.23 by goida

銘柄
度数
原料
原産
博多っ子
25度
清酒粕
福岡市中央区荒戸
萩尾酒造場
製品的特徴
捕獲者
評者
レッドブック度
香りと酸味
goida
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現存
■評者雑感

●当該銘柄について
その蔵を見つけたのは全くの偶然であった。

たまたま就職試験を受けた会社が近くにあり、蔵の販売所の前を通ったのだった。隊の「調査行2」をご覧いただくと解るが、外観は“街角のふつーの酒屋さん”といった風情である。実際、私も「ああ、酒屋さんだぁ・・・。」くらいな感じであっさりと通り過ぎたのであった。

さて無事に試験を終え、同じ道をとぼとぼと帰る(よーするに出来が悪かったのですね)。今度は蔵から通りを挟んで反対側の歩道を歩いていたのだが、ふと空を見上げると「煙突」が目に入った。

で、販売所の前まで行き中を覗いたのだが、営業しているのかどうか解らず、そこで初回の接触は終わったのだった(しかもその時点では『博多っ子』が麦焼酎であると勘違いしていた)。

蔵元は、近くの舞鶴にあった「花関酒造」が太宰府市に工場を移されてからは、福岡市中央区に唯一残る蔵元である。残念ながら、福岡県の酒造組合のページを見ても蔵元に関する情報はいっさい見ることができない。ただ、昭和50年度の組合員名簿には『(焼)かざしの梅』の製造元としてしっかり名前を見ることができる。

この『かざしの梅』については、前回探査時に同蔵の清酒のブランド名であることが判明しており、かつては醸造も行っていたが、現在では熊本の清酒メーカーに製造委託しているとのことである。なお、蒸留については販売所の裏で行っていることが判明した。本品については委託製造ではないので安堵した。原料となる清酒粕は業務委託している熊本の蔵から仕入れているそうである。

情報はとにかく少ない。だが、真の“博多焼酎”と言える存在である。『博多っ子』、その味は如何に・・・?!

●ボトルデザイン:
「本格焼酎」と銘柄名のバックには桃色の梅の花があしらわれている。同蔵の清酒ブランド『かざしの梅』と関係があるのだろうか。緑色の梅の花はどうかと思うが、まぁいいとしよう。

そしていかにも「博多」と感ぜられるのが、博多織のモチーフをあしらっている事である。安易に「山笠」をラベルの図案にするのではなく、「博多織」。素晴らしいの一言である。遊び心と洒落っけたっぷりの「博多っ子」の気質が感じられてうれしくなる。

製造者名、住所の番地、原材料名をゴム印で押しているところが何とも地焼酎らしくて狂喜したくなるのであった。

●銘柄名の由来:
情報不足なのでよくは解らないが、地元の人に愛されて欲しいという蔵元の願いが伝わってくる。ばってん名前だけでもくさ、筑前もんの誇りたい!!

●香り:
封を切る。酸味の強い香りが立つ。粕取り偏狭者のありがちなパターンとして、その偏愛度から臭いを嗅ぎすぎ、嗅覚が麻痺するというのが挙げられる。今回もしっかりお約束であった。

考えてみれば、臭いの違いで種類の違いを当てるという「カメムシの研究者」と大して変わらないのかも知れない。しかし、香りの違いで銘柄名を区別できるかと言えばそうではなかったりする。

●味わい:
生で飲んでみた。何かに似ている。遠い記憶をたどる・・・。もやもやと見えてきたそれはワラバン紙であった。とはいっても私、ヤギではないので食べたことはありません。

香り同様、酸味の強い焼酎である。同じ粕取りでも色々味わいが違うのだから面白い。ロックで飲んでみたが、やっぱ美味いですね。

●レッドブック度:
洒落抜きで薄給で購入した貴重な焼酎である(^_^;)。個人的には“天然記念物”くらいの価値あり!という勢いなのであるが、現に購入できる銘柄であることから「現存」としたい。

蔵元によれば数年に一回の製造とのこと。おそらくはタンクの中身がはけるのを見計らっての蒸留なのであろう。近所の人からも愛されていることから、蔵元は今後も製造を続けるそうである。

製品のヴァリエーションは、25度一升瓶と土産向けの陶器瓶(おそらくは4合入り)のみ。かつては度数の高い物も製造してらしたそうで、高度数が無い現在のラインナップは残念でならない。

確かに現役銘柄ではあるのだが、調査行の中で猛牛氏も気に掛けていらっしゃるように回転率が余り良くないようである。今後の需要の変化などによっては、日産自動車のスポーツ車種『シルビア』ばりに整理を受ける可能性すらある。

そういう観点からも、今後も注目すべき銘柄の一つであると言えよう。


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