2003.12.01 by 猛牛

■ちょいとお誘い有りて・・・また肥前なのだ!

29日、午前11時。「今日は・・・飲まねぇぞ!(-"-)」と誓いを立て、焼酎漬けの脳味噌を天日干しにボケーーーッと過ごしていたひととき。静謐かつ厳粛なムードに浸りかけていた我が“賃貸偏奇館”の空気をうち破ったのは、一本の電話だった。

家人「ああ、わたしですけどぉ。あのね・・・先生がね、いまから古湯温泉に一緒に行かないか?っておっしゃるのよ。一風呂浴びに。あんたも一緒にどうかしらって。行くぅ?」

先生とは、家人が勤める事務所の代表者。そして古湯温泉は・・・わては大分県の古湯かと思ったら、

家人「大分? 違うわよ。佐賀県の古湯温泉よ。三瀬越えて、すぐ右に行くの」

佐賀県佐賀郡富士町にある古湯温泉。筑前西部からだと車で1時間もかからない、北山ダムの下流域にある小さないで湯の里である。

ところで、お誘いいただいたその先生だが、旅行時はコンビニで売っている大きなカップ形容器のかち割り氷に焼酎をいっぱい注ぎ、それをチュウチュウ飲みながら移動するってぐらいに、無類の酒好きなのだ。

わては今日は禁酒と誓ったばかりちゅーに・・・「うむ(>_<)」。なんち事は、ちぃーーーとも思わず、

猛牛「行きます!行きます!行きまぁ〜〜す!σ(*^0^*)

こういう偶発的な時に限って、なにか行き先で出来事に遭遇することが多々ある。そのためデジカメを手に家を飛び出した。

◇    ◇    ◇

事務所に行くと、先生は“巨大な計量カップに丸い落とし蓋が付いた”ようなタッパウェアに氷をぶち込み、『さつま小鶴くろ』900mlをなみなみと注いでいるところだった。先生愛用の“デカんた”、落とし蓋を押し込めばこぼれないもので、確かに移動用に最適。

先生『旅行の時はこれが便利なんだよ。牛君も、飲むだろ?』
猛牛「そ、そーですねぇ〜。はいぃ〜(*^^*)

禁酒の誓いは、氷が浮かぶ液体を前にして、もろくも崩壊した。というわけで、同じ事務所にいらっしゃるMさんをドライバーに、4人は古湯温泉へと向かった。

■肥前の隠れ里・・・ひなびた山間のいで湯『古湯温泉』。

古湯温泉は、わては初めて。でも、良かところですなぁ。川縁にできた『かじかの里』や、遊歩道を散策する。

川縁の歩道は、まだ完全には整備が終わっていなかったが、周囲に広がる風景は旅情満点という感じか。川面には、鴨のつがいが何組か戯れていた。

「筑前からほんの1時間ちょっとで、こういう場所があるったいなぁ〜」。ほどよく田舎でほどよく街に住む有難味ちゅーか、なんかそんな思いがしてきた。

ある旅館の庭先に目を遣る。11月16日に拝めなかった紅葉だが、やっと色づいてきたようだ。今年は冷夏に暖冬、ほんとどうなっているのか。
■『瓦そば』を喰らい、大衆料金の湯に浸かる・・・。

車の中で先生と飲んだ『小鶴くろ』が、効いてきた(@_@;)。そりゃ空きっ腹だったからねぇ、当たり前。

んで、腹ごしらえちゅーわけで、『瓦そば』を食べるために、料理店『田舎』(左下画像)。瓦そばは今年の夏、長門から下関を回る旅の時に本場・川棚で食べたばってん、この店のも美味かった。

もう行きがけの道で、“デカんた”は底をついていた。この店に地元焼酎は無く、『雲海』ロックを追加で一杯飲む。有り難い話だけども、大きめのグラスに並々と注がれる(^_^;)

ところでわては、瓦そばにおいては、焼けた瓦にこびり付いたガチガチのそば麺を執拗なまでに箸でこそぎ落としながら瓦をきれいにし、採取された堅く歯ごたえのある麺を歯の先でプチプチ噛み砕きながらその食感に浸る、という極めて貧乏臭い作法をモットーとしている。火傷しなければ、瓦を舐めたいくらい。

大目的の温泉は、『古湯温泉センター』へ。家人の話では、これまでは旅館のお風呂に入っていた先生だが、今回は急な思いつきでもあり、ここにしたという。地元の方々もやってくる普段着の湯屋である。

館内は、熱いものとぬるめの2つの湯船に別れていた。先生やMさんは、目を閉じてのんびりと浸っている。わては長風呂すると目が回る“烏之行水派”なので、早々に湯船を退散。それにしても、久しぶりの温泉、気持ちん良か。

■センター近くの鄙びた酒屋にて、正調を確認!

というわけで、わてにとっての大目的、いままで未踏地であった富士町中心部における正調粕取の状況確認である。あまり時間も無いので、古湯温泉のメインストリートを歩いて、目に付いた酒屋さんに飛び込む。

ご覧のお店、いかにも地元の古い酒屋ってぇ感じで、ブツがありそーぬぅあんである。

中に入ってみると、棚には『白波』『雲海』『いいちこ』『二階堂』『くろうま』を中心とした定番商品が多い。ハズレかと思ったがしかし奧にはなにかあるかもしれない。声を掛けてみる。

猛牛「ごめんください」

店の奧から、60過ぎと見える大将がいらした。

猛牛「すんまっせんばってん、粕取焼酎はありますかぁ?」
大将「ああ、ありますよぉ〜」

おおっ、あるのか! ニヤリと思わず顔が弛む。大将は、奧の在庫置き場から一本持って出てきた。手にしていたのは、コレ。

『粕製天山』の40度である。この商品については、今年の夏に小城町須賀神社近くを家人と車で通った際、鄙びた酒屋の棚に一本だけ飾ってあったのを見つけている。さすがに『天山』のお膝元と言えようか。

猛牛「粕取が置いちょるとは珍しかですね? 売れよるとですか?」
大将「ええ、こっちじゃぁ、けっこう出ますよぉ」

うれしい話だ。しかし、郡部での需要はその数も、需要層も限られている。『粕製天山』もいつまでこの山間の温泉宿で生きながらえてくれるだろうか。

昨年夏、天山酒造株式会社の七田謙介氏から頂戴したメールには、同社にとっての“粕取”はもうすでに3年前から“大吟醸粕もろみ取り”へと移行したことが記されていた。佐賀の正調粕取の灯、そのひとつが燃え尽きるのは時間の問題である。

これで昨年のgoida隊員との探索以降、佐賀県における正調粕取の店頭化店は、今回の富士町の一軒、小城町での一軒、先日の「肥前粕取旅情」の際に途中立ち寄ったディスカウント・チェーン店『あんくるふじや』の一軒(『かすとり本部』25度)と、さらに3軒が新たに判明した。筑前での状況からすると救いはあるが、楽観視はできないだろう。

◇    ◇    ◇

瓶を入れたビニール袋を下げて、温泉センターに戻る。と、そこに家人が立っていた。あわてて体の後ろに袋を隠しても、もぉ遅かった。でへへσ(*^^*)


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