2002.08.05 構成 猛牛 更新2002.09.08

筑前在住の協力者の方より、20年前の北部九州各県における粕取焼酎蔵のリストをご提供いただいたので、ここに可能な限り公開させていただく次第。

まさに20年前、1982年当時における粕取焼酎焼酎の製態系の全貌がこれだ。

現時点で現存しているもの、蔵元自体が廃業となって消滅したもの、また本家本元の蔵が廃業となったが他の蔵が引き継いだものなど、銘柄の状態は解っているものについては記した。銘柄そのものなども当然漏れが想定されるため、今後判明すればリストに追加していく予定である。

福岡県
銘柄
蔵元
所在地
当該銘柄の状況
九州菊   林酒造場 京都郡犀川町崎山
現存
銀嶺   吉田酒造 筑後市大字馬間田
終売・消滅
大宰府 同上
廃業・消滅
粕取り園乃蝶 大坪酒造 山門郡瀬高町大字下庄
粕取酎・繁桝 高橋商店 八女市大字本町
終売・消滅
常陸山 塚本弥寿一郎 三潴郡三潴町大字草場
廃業・他社引継
弥満の誉 森永酒造 三潴郡三潴町玉満
終売・消滅
香露 九州進醸 三潴郡城島町楢津
廃業・他社引継
雪の里 雪の里酒造 甘木市大字菩提寺
現存
立花 泉酒造 飯塚市立岩
廃業・消滅
最高峰 野見山本家酒造 飯塚市大字伊岐須
廃業・消滅
石井産業 鞍手郡若宮町大字金生
終売・消滅
梅ヶ谷 梅ヶ谷酒造 嘉穂郡嘉穂町大字大隈町
終売・消滅
喊聲 柴田酒造 福岡市博多区祇園町
廃業・消滅
池田 中原酒造場 福岡市西区周船寺
廃業・消滅
博多っ子 萩尾酒造場 福岡市中央区荒戸1丁目
現存
※『常陸山』および『香露』は、杜の蔵さんに引き継がれ、現在も命脈を保っている。
※『弥満の誉』は、森永酒造(現杜の蔵さん)が、『常陸山』および『香露』の銘柄引き受け時に整理された。
※『銀嶺』は喜多屋さんに受け継がれたが、昨年出荷分までで終売となった。
佐賀県
粕取り竹の園 矢野酒造 鹿島市大字高津原
本部 牟田酒造場 武雄市若木町大字本部
他社引継・継続
粕製天山 天山酒造 小城郡小城町大字岩蔵
消滅の危険性大
玉乃緒 大隈酒造場 杵島郡江北町大字下小田
粕取り窓乃梅 窓乃梅酒造 佐賀郡久保田町大字新田
近々、終売予定
笹の露 三國山 三養基郡基山町大字宮浦
※『本部』は、現在「光部酒造場」さんに商標が引き継がれ生産も継続。
長崎県
涼風 福田酒造 平戸市志し伎町
日の出焼酎 あい娘酒造 南高来郡愛野町
梅ヶ枝粕焼酎 梅ヶ枝酒造 佐世保市城間町
粕取おらんだ船 山崎本店酒造場 島原市白土町
大分県
粕取三隅 クンチョウ酒造 日田市大字石井榎鶴
金星 南海酒造 佐伯市西谷区
碧雲 佐藤酒造 直入郡久住町大字久住
現存
白菊 大塚酒造 直入郡直入町大字長湯
笑顔 麻生本店 大分郡庄内町畑田
熊本県
熊襲 河津酒造 阿蘇郡小国町宮原
千代の露 千代の園酒造 山鹿市山鹿
宮崎県
園乃露(※注) 川崎三雄 東臼杵郡諸塚村
上記20年前のリストには無いが存在が確認されている銘柄
きじ車 八鹿酒造 大分県玖珠町
現存
玉出泉 大賀合名会社 福岡県筑紫野市
現存
萬代・粕取 小林酒造本店 福岡県宇美町
現存
ヤマフル 鳴滝酒造 佐賀県唐津市神田
消滅の危険性大
※注:消滅などの文言については、蔵そのものではなく粕取焼酎の個別銘柄を指します。
※注:
『園乃露』の原料は「粕・米糠・米」製ですが、あえて加えています。
粕取焼酎製造の蔵元の数は、こうやってみれば一目瞭然、福岡県や佐賀県、そして大分県に集中していたことが解る。九州の中でも有数の米どころ=清酒どころという地理的条件が、粕取焼酎のバックボーンにあったのが納得できる蔵の分布だ。

ところで、あくまでも推測でしかないが、ちょうど20年前に甲類焼酎から減圧麦焼酎の侵食が進んだ大分県では、それ以前にはまだまだ粕取蔵が多かったのではないだろうか(けんじさん大分調査報告に依る)

当時においては、未だ粕取焼酎の製態系環境は維持されていたのであろうことが実感できる。しかし、今後の調査でこのリストの“レッドデータ”がどこまで拡大されるのだろうか・・・。いまこそ、粕取焼酎の製態系保護についての意識高揚が必要な時を迎えたと申し上げて過言ではない。


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