2002.07.23 by 猛牛

■あの筑前の一等地「百道」に、ホッピーの幟が・・・。

福岡市百道浜(ももちはま)。かつては海岸沿いの松の並木が美しい海水浴場であった。

しかし、10数年前に開催された『アジア太平洋博覧会』、通称“よかとぴあ”のために埋め立てとなり、福岡タワーが屹立、ギンギラギンの有名企業パビリオンが立ち並ぶ会場となった。昔の面影は一掃されたのである。

さらにその閉会後、中央の大手企業や地元大企業、テレビ局などの高層ビルが林立するオフィス街へと大きな変貌を遂げた。ビル群の周辺には企業のトップマネージメントや野球選手、医師などが暮らす超一流高級住宅街が形成され、ぬぅあんとも生活感の無い人工的都市空間が現出したのだった。

この百道の一角・・・天神の角打ちに安住の地を見いだすような、わての如き貧窮飲んごろには極めて縁のない場所である。

しかし、先週ふじつぼ隊員からの連絡を受けて、わては驚愕したのだ!(@_@;)。仕事で百道を通りかかったら、ぬぅあんと、

百道のビル群の中に、ホッピーの幟を見つけた!

というのである。え? あの愛しの『ホッピー』が、百道に生息していたとは・・・。

それは嘘か真か? 急報を受けて、さっそく現場へと向かうことにした。日曜の夜、人通りは少ないが、近くにある福岡ドームでダイエー戦の真っ最中、駐車場は満杯である。やっとこさ探してパーキング、幟のありかへと☆を追う刑事よろしく、走る・・・。

「なぜだ? なぜ百道にあるのだ?(-ー;」

天神の、あの猥雑とした立ち飲み屋………安酒に一日の憂さを晴らす菜っぱ服の日雇いのおいちゃんやサラリーマンのおっさんたち、酢がやけに利いた250円の〆鯖をちびりちびりといぢ汚く囓りながらグイっ!とあおるわてがクダを巻く(自爆)………という世界にこそ似つかわしい『ホッピー』が、なぜか百道ぬぅあんである。

駐車場から走って5分。お!あった!あった! あの『ホッピー』の可愛い書体が、風に踊っている! 美しいじょぉ! 背景の小綺麗なオフィス街との対象も鮮やか。

な、なんとそこはと見れば、6月に宮崎からいらしたけんじさんが泊まったホテルの隣りではないか! 意外や意外、灯台もと暗し、である。さすがにあの時は朝だったので幟は仕舞われていたのであろう。

■『ホッピー』&『電気ブラン』で、まさに桃源郷!

さて、この幟はためく店だが、その名は『飲中八仙歌(いんちゅうはっせんか)という。「ツインズももちビル」の1階にあった。

店の前まで近づくと、懐かしいホーロー看板が塀に掛けられている。オールドファンは(T_T)であろう、ボンカレーやオロナミンC、アースなどのアレである。あとでチラシをいただいたら「昭和30年代のなつかしい居酒屋食堂」というコンセプトが書かれていた。

ちょうどわてやそれ以上の世代にとって、郷愁や哀愁を感じさせる店造りであった。

店に入ってさっそく『ホッピー』をと思ったら、カウンターやショーケースには“こだわりの地焼酎”がわんさと並んでいた。いかにも今様の居酒屋という感じ。ズズイ!と行列した本格焼酎の皆様も、今日に限ってはわての目には入らんったいねぇ〜。とにかく『ホッピー』なんよ、ホッピー!

メニューを見ると、しっかり商品説明まで入ってプッシュされていた。450円! 立ち飲み屋よりも50円高いが、雰囲気代+椅子代と思えば安いもんだ。逆に良心的かも。

というわけで、まずシングルで頼む・・・。
「・・・ぷっ、はあ! うんめぇ!」

美味いわぁ〜、やっぱ『ホッピー』!。ビールのキッチュ×焼酎のキッチュの、キッチュの2乗が織りなすこのムードと飲み心地だけは、けっして本格焼酎では再現し得ない世界なのだ。これだけは“ピュア&クリーン”の甲類でないと、アカン!

グビグビグビグビと『ホッピー』を駆けつけ2杯あおって次は?とメニューを見れば、『電気ブラン』の文字が・・・。おっ!(@_@;) 

『ホッピー』と共に、東京の大衆料飲文化への憧憬、つまり筑前の田舎者飲兵衛のあこがれの的が、この『電気ブラン』なのである。しっかりと店頭化しているとは、この店はエライ! わざわざ浅草まで行く金が無いっちゃけん、助かるったいねぇ〜、ほんと(^_^;)。

ロックで飲む。ああ、なんやら薬みたいな不思議な味。しかし、これもわての好みである。店員さんがわざわざ瓶を持ってきてくれたが、製造元を見ると合同酒精さんだった。当日同行してくれたふじつぼ隊員は一口「不味いぃ〜(>_<)」と言っていたが、わてはこの味に惚れましたですにゃ〜。

ああ、良かぁ〜、この店。酒ばかりでなく、色々と昔懐かし的嗜好を凝らしたメニューもお勧めですばい。実際にいろいろ食べたけど、料理も美味い

■筑前において・・・我らが『ホッピー』に光を!

ところで。なぜ“えぐぜくてぃぶ”な都市・百道でホッピーなのか?についての答え、大方察しは付いていたが、店員の方に聞いてみた。その方、さっきから「ホッピー!ホッピー!」とカウンターで大騒ぎしていたわてを見て、くすくす笑っていたのである(爆)。

Fさん「東京から転勤で来られた方なんかが、むかし上野で飲んでいてとても懐かしい、と注文されるんですね。出張で来られた方もよく飲まれますよ」

「東風吹かば〜」ではないが、遙か筑前の地に来たりて、東からの風にひるがえるホッピーの幟を目の当たりにし、今は遠く過ぎ去った帝都での暮らしぶりを想起させるのであらふか・・・。

◇    ◇    ◇

というわけで、筑前の一等地・百道におけるホッピー遭遇の一席。

東では本格焼酎がまさに扶桑固有・万古不変の民族伝統文化という位置付けを与えられ、スピリチュアル・ナショナリズムとも申すべき思想的な高みにまで称揚される時代を迎えた。それにひきかえ、なぜ西では『ホッピー』が関東固有の大衆料飲文化の精華であるにも関わらず、筑前住民に未だ省みられないのか? 

わては残念なのである。やふ・オークションで『ホッピー』1ケースに万札をはたく位でなくて、筑前在住もんはどうする?

覚醒せよ!筑前の民よ! 目の前に、関東の民族伝統文化、敗戦後からの悠久の歴史を誇る『ホッピー』が在るのだ。“外来”の『ホッピー』に依って、自らの“民族的アイデンティティ”を認識せよ! 筑前の民よ! 百道へ、急げ!

(電気ブランが効いたなぁ〜、うぃ(>_<))


九州焼酎探検隊TOP