2003.11.27 by 柳田牛夫

ちいとも暑ぅならん夏が終わっち、
またちぃとも寒ぅならん冬の夕方の事ぃじゃったげな。
稲穂も頭を垂れんし、瓜も大きぅならんで、
喰うもんにも飲むもんにも困っち、村ん衆も大弱りじゃ。

そいで、皆ん衆が庄屋ん周りぃ集まっち、どうでんすっか話合いよった。
ひもじい思いしち、とにかく我慢すっわけにはいかねぇち、
庄屋は遠くさ離れち村から米やら麦やら、瓜やら、
村ん貧しぃ蓄えで買うち、はるばる持っちくる事ぃしたげな。

とこが、庄屋んとき、一人の侍がやち来たげな。そん侍が言げな。

「地の者ちくさ、地の物ば食べたり飲んだりするとが、一番くさ。
よそん村で穫れたもんば持っちきて、それりゃぁ、よー思案せなイカンばい。
そん物がぁ、信用でけっとかぁ、よー解らんめぇ?
村ん衆が村ん物さ喰わんでぇ、村ん存在意義ちゅーのが危うぅはなんらかぁ?」

ただでん喰いもんも無し、腹減っちタマラン村ん衆じゃ。
日和も良うち、実りも多い年ぃなら、まだ話ぁ聴かんでも無し。
「なしちこげえ時言うかぁ。物が有りぁあせんで、どげしち喰っちいくかぁ」ち、
村ん衆が怒りだしたげな。

とこが侍ぁ、そん騒ぎに魂消ち、慌てて言い直したげな。

「食い物んばぁ、村ん外に頼むちゅーことも、あるばい。
村ん外の物もありゃ、村ん内の物もある。
遠い村ん衆でん、額ば汗ぇして、作物ば作りよっと」

そげ聞いた村ん衆も、話がぁおにぎりコロリンちひっくり返っち、ビックラしたげな。
そりゃぁ、侍ぁもとから村ん者じゃぁ無し、触らぬ神に祟り無しじゃ。

そりかりあと、村ん衆は呆れち、侍さぁ相手ぇせんことなったげな。


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