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ちいとも暑ぅならん夏が終わっち、 またちぃとも寒ぅならん冬の夕方の事ぃじゃったげな。 稲穂も頭を垂れんし、瓜も大きぅならんで、 喰うもんにも飲むもんにも困っち、村ん衆も大弱りじゃ。 そいで、皆ん衆が庄屋ん周りぃ集まっち、どうでんすっか話合いよった。 ひもじい思いしち、とにかく我慢すっわけにはいかねぇち、 庄屋は遠くさ離れち村から米やら麦やら、瓜やら、 村ん貧しぃ蓄えで買うち、はるばる持っちくる事ぃしたげな。 とこが、庄屋んとき、一人の侍がやち来たげな。そん侍が言げな。 「地の者ちくさ、地の物ば食べたり飲んだりするとが、一番くさ。 よそん村で穫れたもんば持っちきて、それりゃぁ、よー思案せなイカンばい。 そん物がぁ、信用でけっとかぁ、よー解らんめぇ? 村ん衆が村ん物さ喰わんでぇ、村ん存在意義ちゅーのが危うぅはなんらかぁ?」 ただでん喰いもんも無し、腹減っちタマラン村ん衆じゃ。 日和も良うち、実りも多い年ぃなら、まだ話ぁ聴かんでも無し。 「なしちこげえ時言うかぁ。物が有りぁあせんで、どげしち喰っちいくかぁ」ち、 村ん衆が怒りだしたげな。 とこが侍ぁ、そん騒ぎに魂消ち、慌てて言い直したげな。 「食い物んばぁ、村ん外に頼むちゅーことも、あるばい。 村ん外の物もありゃ、村ん内の物もある。 遠い村ん衆でん、額ば汗ぇして、作物ば作りよっと」 そげ聞いた村ん衆も、話がぁおにぎりコロリンちひっくり返っち、ビックラしたげな。 |
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