萬年歳時記
【如月・壱---完結編】
Drinkers Get A Brand New MANNEN's Spirits

2004.02.06 by 猛牛


タンクの中でゆっくりと熟成の時を待っていた『萬年』。いよいよ出荷の時を迎えました。

原料である甘藷の植え付けから栽培、収穫、そして仕込みから蒸留へ。春から夏、そして秋、冬へと、渡邊酒造場に巡った四季折々の日々の最後、醸し出された焼酎が蔵から全国に旅立つのです。

出荷の様子を、歳時記の締めくくりとして、お伝えしましょう。まずは表面に浮いたフーゼル油の掬い取りです。

渡邊専務「油の掬い取りの様子です。この日は数日前からの異常な冷え込みのお陰で大量に油(澱)が浮いてきていました。

まるで湯気、というか、飛行機の窓から見下ろす雲の様にも見えますよね?

渡邊専務「はい。湯気のように見えるかもしれませんが、ちゃんと液体の中に入っています。もうすでに何度か油は取っていたのですが、そのときの品温より温度が下がると、このように出てきます。もちろん品温が高くなればなくなってしまうのですが、ただ原酒の中に溶け込んだだけなので、寒くなれば当然出てきます」

丹念に油を掬うこと。これはとても、手間の掛かる作業です。目指している味にするためにひたすら、ただひたすら、掬い取ることを繰り返します。

渡邊専務「油だけを掬い取ることは無理なので、原酒と一緒に尺で掬います。掬い取ったものはバケツに入れて、別のタンクに移します。掬い取りをするときは当然寒い日なのですが、タンクのふちが冷たくて、嫌なんっすよねぇ(^_^;)」

いま、真利子さんが、出来上がった焼酎を一升瓶に充填する作業を行っています。大手メーカーの自動化された大きな製造ラインとは違って、小さな蔵ならでは風景です。

その隣では、詰められた一升瓶の中に不純物が入っていないか、一瓶一瓶、入念なチェックが進められています。

次の工程は、ラベルの貼り込みです。これまで手貼りで行っていた渡邊酒造場でしたが、昨年ラベラーを導入したそうです。

渡邊専務「白麹と黒麹のラベルをリニューアルした、夏ぐらいからですけど。さすがに出荷が間に合わず、ラベラー購入したんっすよ。ラベラーといっても一本瓶を置いて、ラベルを一枚入れるという簡単なもんなんですが、随分楽になりました。

うちは、畑で仕事をする時間が長いので、このラベラーがなかったら大変なことになっていたと思いますね」

原料芋の栽培も自ら行っている蔵元らしいエピソードですね。

いまラベラーで、瓶に貼られているのは、『無濾過・萬年』のラベルです。だんだん製品から商品へ、顔が出来上がってきます。
渡邊専務「裏貼りなどを貼った後に、のりが乾かないうちに微調整をして、位置をピッタリと決めます。ラベルを保護するスポンジのようなシートを巻いて、出来上がり。ダンボールに入れます」
発送の準備ができました。今日、2月2日、待ちに待った出荷です。

『無濾過・萬年』が登場して、はや1年。地元宮崎や関東の熱心なファンがその魅力を語る、文字どおり“知る人ぞ知る”存在だった『萬年』が、いまや全国的に広がった愛好家や支持者の元に送り届けられるのです。

箱の側面、“無”の文字に丸が付いているのは、「無濾過」が入っていることを表します。
フォークリフトがパレットを運びます。蔵から各地へ、旅立ちの時を迎えました。

◇   ◇   ◇

さて、2003年9月からお届けした『萬年歳時記』は、出荷でひとまずその幕を閉じます。最後に、これまで最大限のご協力をいただいた渡邊専務に、ご感想を頂戴しました。

渡邊専務「歳時記を通じて、自分自身にとってもかなり勉強になりました。自分は蔵に入ってまだ3回(シーズン)しか仕込みを経験していません、基本的な流れがわかる程度で細かいところは父に教わりながら勉強しているような状況です。

今回、皆さんにできるだけ解りやすく伝えようと考えたことで、『いままで気にもとめていなかったけど、この工程は何の為にやっているんだろう?』、『次の造りではこういう風に変えてみよう』などと、新たな発見や課題が見えてきました。

今月末からは、次の仕込みに向け芋の床出しが始まります。昨年よりも少しでもいい物を造りたいと思います」

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本シリーズにお力をいただいた渡邊酒造場ご一家をはじめ、県農えひめさん、石原けんじ大佐、goida隊員、SASANABAさん、マツユカ女史、芋っ子倶楽部さん、くーろんさん、カネさん、Sさんなど、多くの皆様に感謝致します。

猛牛   







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