萬年歳時記
【睦月・壱】
Project MM vol.3

2004.01.23 by 猛牛


県農えひめから原料のはだか麦が出荷され、宮崎県田野町の渡邊酒造場に届いたのは12月24日、クリスマス・イブ。渡邊専務の新たな挑戦が、スタートしました。

渡邊専務「粒を見たとき、外麦と比べてかなりまん丸だなと感じました。ただこれは精麦歩合の違いからくるものかもしれまん。蒸した後の状態は、外麦に比べて少しべとつくかな?というぐらいで、くっ付いて固まりになる、だんご状になるということはありませんでした。想像していたよりも扱いやすかったっすね」

実際に見てみると、確かにそうですね。まあるい粒です。

麹づくりが始まったのは、原料到着の当日12月24日。そして出麹と一次もろみの仕込みは、12月26日に着手されました。

渡邊専務「これが一次もろみです。発酵過程では香りに違いが感じられました。外麦はアルコールっぽい香りでしたが、はだか麦の方は落ち着いたような、あまりトゲのない香りに感じられました」

もろみを見ていても、芋とは違った、なんだか“香ばしい”感じが漂っています。

渡邊専務「もろみの味は外麦よりもかなり苦かったです。父が言うには、麦はもろみが苦い方がいいものが出来るそうです。まぁ、あくまで経験上の話でしょうが」
発酵中の一次もろみに迫ってみました。粉砕される芋とは違って、麦の粒立ちがはっきりしています。二次もろみの仕込みに移ったのは、12月30日の晦日。蔵は年末も大忙しです。

渡邊専務「次は二次もろみですが、外見的には一次とあまり大きな差はないんっすよ。だから、写真として面白いものではないんですが、資料として押さえてみました」

いよいよ、待ちに待った蒸留です。二次もろみの発酵が一段落した2004年1月11日と12日の2日間、それは行われました。さて、新しいはだか麦での初蒸留、味はいかがでしたか?

渡邊専務「蒸留後すぐに飲んだのですが、常圧の麦は普通ピリピリしていて飲めたもんじゃないんです。でも。はだか麦のものは、落ち着いた味であまりの違いに驚きました。度数は41度です」

これまで仕込んでこられて、今回とこれまでの原料との差は、どうでしょう?

渡邊専務「これは麦だけでなく芋にも言える事なのですが、同じ蒸し方、仕込み方をしても原料の品種が変われば、当然味も変わるということを改めて痛感しました。

毎年、造りのたびに何か新しい課題を、挑戦を持って臨んでいるのです。たとえば、一昨年の無濾過とか、去年(注:今回のこと)のはだか麦とか。今年(注:醸造年度として)は、芋で何かやってみようと考えています」

と、今後の抱負を語る渡邊専務。『萬年・無濾過』、新作・はだか麦と続いてきた渡邊酒造場のさらなる挑戦が、今年はどんな味と香りになって、我々の前に現れるのでしょうか。


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