【長月・七】
Making of Black MANNEN 4

2003.09.22 by 猛牛


いよいよ「二次仕込み」の段階です。一次もろみに、蒸した芋と仕込み水を加えて、さらに発酵させる工程です。渡邊酒造場では9月8日から今年最初の二次仕込みがスタートしました。まずは蒸した芋を粉砕して一次もろみに投入します。

■9月8日:二次仕込み開始

渡邊専務「親父が蒸し器から出てくる芋を調節しながら粉砕機に入れている様子です。うちの粉砕機は小さいので、ほっとくと芋が詰まって溢れてしまうんっすよね(>_<)。だから、稼働中は必ず一人ついていないといけません」

一次もろみに細かく砕かれた蒸し芋が投入されます。

渡邊専務「これぐらいだと、まだ櫂棒で混ぜるのも楽勝なんっすよ」

■投入直後

投入が始まって30分、タンクが一杯になりました。仕込み水と混ざった原料芋の色がとてもきれいですね。

渡邊専務「このあたりは、二次仕込みの取りかかりの終盤です。

だいたい半分くらいからしんどくなるのですが、この画像のころには櫂棒は重たいし、腕はだるいし、冬場でも汗を大量にかきますね。慣れるまでは、ほんと泣きそうになりますよ」

一次もろみよりも、ひと回り大きめのタンクで仕込まれる二次仕込み。もろみをまぜるのも一苦労です。

■5時間後
近づいて見ると、ほんとうにブクブクブクと泡立っています。まるでお好み焼きのタネみたいだと言ったら、怒られるでしょうか。

渡邊専務「仕込み直後にはもろみにあまり変化はみられませんが、5時間後にはすでにかなり発酵が進んでいます。ほら、まるで煮ているみたいにブクブクとガスが出てきてるでしょ? もろみも中は対流してつねに動き続けているんです」

■9月9日:2日目
次の日になると、だんだんとクリーミーに溶け合ったような感じです。

渡邊専務「まだ、元気良く発酵しています。舐めると酸っぱいですよ」

この酸っぱさの秘密はクエン酸。製麹の過程で生まれ、雑菌の繁殖を押さえて腐造を防ぎます。南九州で主に焼酎が造られたのは、日本酒に使われる黄麹だとクエン酸の発生が少なく、温暖な気候に合わなかったという地理的な理由がありました。

■9月10日:3日目
さて、3日目。もろみはどうなっているでしょう?

渡邊専務「見た目はあまり変わっていないでしょうか。昨日よりブクブクという音は小さくなっています。仕込み後1日目から2日目までは冷温機をいれて冷やさないと温度が高くなりすぎてしまいます。寒い時期にはもちろん必要ないときもありますけどね。この3日目ぐらいからは品温の上昇はほとんどなくなり、落ち着いてきます」

■9月11日:4日目
あれ? ちょっと昨日とはもろみの色が変わっていますが?

渡邊専務「若干もろみの色が濃くなってきました。ブクブクと泡立つ音が、だいぶ小さくなってきたでしょ? もろみの品温の上昇も止まっています。これからはじょじょに品温は下がっていくんですよ」

■9月12日:5日目
5日目ともなると、激しかった発酵の状態もかなり変化が現れています。

渡邊専務「かなり落ち着いてきました。品温は29度ぐらいです。色も昨日よりちょっと濃くなってます。始めのころの色と比較するとだいぶちがうでしょ?」

■9月13日:6日目
渡邊専務「このころになると、もろみの対流があまりないので表面が固体と液体に分離してきます。分離したままでは均等に発酵が進みませんし、酸膜酵母が張るらしいので、ゆっくり櫂を入れて撹拌します。これも蔵によってさまざまだと思います。品温は昨日よりも若干下がっています」

なるほど。もろみの対流がないので、あまり変化していないように見えるのですね。

■9月14日:7日目
こうやってみると、もろみの表面はまるで焼きプリンの様に見えます。スプーンで掬ってみたくなりますね。
■9月15日:8日目
渡邊専務「品温は28.5度です。もう15度ぐらいアルコールが付いてます」
■9月16日:9日目
渡邊専務「もうこの辺は見た目は変わりはほとんどありません」
■9月17日:10日目
渡邊専務「品温は今日で27.8度でした。発酵もほぼ終わりです。

穀類に比べて芋はもろみの熟成が少し早いので、蔵や立地条件の違いもありますが10日目ぐらいから蒸留できるようです。

穀類だと二週間ぐらいかかるでしょうか」

■9月18日:11日目
渡邊専務「毎日もろみを見ていると、様子が激変するということはほとんどないので、あえてコメントするっていうのは難しいですね(^_^;)

いよいよ明日の朝、蒸留します。二次もろみの経過は以上です」

後半、あまり変化が見られませんでしたが、ドキュメントとして残すために、あえてご紹介しました。渡邊専務、ご解説ありがとうございました。

さて、渡邊酒造場では9月19日から今年初めての芋焼酎『黒麹萬年』の蒸留に取りかかりました。ついに焼酎として蒸留器から滴がほとばしる瞬間です。

次は蒸留の模様を・・・という前に、もろみの仕込みの最中に蔵を訪問した熱烈な萬年ファンの方々をご紹介しましょう。


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