【長月・四】
Making of Black MANNEN 2

2003.09.10 by 猛牛


9月3日、一次仕込みの開始です。

冒頭でご覧いただいた映像が初日のもろみの様子。温度調節のための冷温機がもろみの中に入っています。まだまだ暑い毎日が続くためです。

渡邊専務「黒麹なので上層部が黒っぽいでっしょ? 蔵によって温度は異なりますけど、品温が高くなると酵母が死滅してしまうので、うちでは高くても30℃で抑えてます」

次は、2日目のもろみの状態。

渡邊専務「だいぶガスが発生してきてるんですよ。ちょっと解りにくいかもしれませんが、ボコッ、ボコッとガスが上がってきています」

さて3日目、9月5日の状態です。米が表面に浮かび上がってきてるような感じですね?

渡邊専務「見た目では解らないのですが、だいぶアルコールが付いてきています」

渡邊専務「でも、やっと「もろみ」らしくなってきましたね。すでにかなりの量のガスが発生していて、近づくとむせそうになります。そういえば昨日ですけど、あの石原けんじ大佐がもろみをチェックして行かれたんっすが、ガスを思いっきり吸い込んで泣きそうになってましたね(^_^;)」
4日目になると、さらに発酵が進み、表面に麹米が固まって「蓋」が出来てきました。もろみをかき混ぜる「櫂棒」が入っています。

渡邊専務「まだ暑いでしょ? 気温が毎日35度近くまで上がるので、もろみに頻繁に櫂を入れて、発酵温度が上がらないように気を付けています。香りもとってもいいっすよ。」

米が上層に固まって蓋になります。その中でもろみは、徐々に温度を上げていきます。限度を超えないよう、櫂棒を入れてかき回し、発酵を一定に保ちます。

今朝は、三代目の渡邊友美さんが、櫂棒で、もろみを撹拌します。

さあ、次の映像が混ぜられた後のもろみです。先のものと比べてみるとその違いがよくわかります。撹拌されて、また元気よく泡が立ち上ってきました。

9月7日、5日目のもろみです。

渡邊専務「昨日と見た目はほとんど変わりないっしょ? でも、分かりにくいかもしれませんが、全体の量が減っています。それは1仕込み分(約400kgの米)を二次タンクに移したためです。

うちの場合、ドラムが結構大きいので一度に1600kgキロの米を蒸して、4仕込分の麹をつくります。1回が400kgで、それに二次仕込みで2トンの芋を入れるんですよ。米1に対して芋5になりますね」

渡邊専務「5日目以降の一次もろみはほとんど変化はありませんよ。一次もろみを何日目から二次仕込みに使うかは、当然蔵によって異なりますね。

うちは比較的早めでしょうか。うちは4回にわけて使うので、5日目、6,7、8日目になりますね。こういうことからも蔵の個性が生まれるんでしょう」

ふと思ったのですが。一次仕込みとは、いったいどういう工程なんでしょう? 渡邊専務に伺ってみました。

渡邊専務「一次仕込みとは、単純にいえば酵母を増やす作業です。酵母を増やすことによって二次もろみの腐敗を防ぐのです。

麹菌がデンプンからブドウ糖を造ります。酵母はそのブドウ糖を食べアルコールを造りながら増殖します。しかし、自分の造ったアルコールが増えすぎると死滅してしまいます。その調節が難しいのです。親父も温度や時間を変えていろいろと試行錯誤したみたいですよ。

今は以前とは比べ物にならないくらい醸造技術、機器、器具など含めて進歩しているので、昔はできなかったことができるのかも知れませんね。自分もいろいろと試してみるつもりです。

これは麹の話になりますが、以前は芋で麹を造るということは不可能だったでしょう。しかし、技術の進歩で現在ではいろんな蔵が芋麹を造っています。素晴らしいことです。

その第一人者、国分酒造協業組合の笹山さん、安田さんの功績は大きいですね。尊敬しますよ」

いよいよ蔵では原料芋を使った二次仕込みの段階に入ってきました。次は、渡邊家の農園で栽培された芋、その収穫の模様を見てみましょう。