2006.02.04 by 猛牛

■ゆく萬年1---煉瓦煙突とボイラーの解体

2006年1月28日土曜日の昼、かの石原けんじ大佐先生から携帯に着信が入った。

「あのぉ・・・いま・・・萬年さんにお邪魔・・・してるんですけどもぉ・・・そのぉ・・・いま・・・煙突の解体作業を・・・見守ってまして・・・」

いよいよ解体との話は耳にしていたのだが、宮崎県田野町にある渡邊酒造場、そのシンボルのひとつである煉瓦づくりの煙突が最後の時を迎えていたのだった。前日の27日から始まったという解体の現場には大佐先生に加え、goida隊員も立ち合っていて、煙突の有終を見届けているという。

大正時代から現在に至るまで、蔵の春秋を見守ってきた赤煉瓦の煙突も寄る年波には勝てず、何時崩落してもおかしくはない状態であることは伺っていた。淋しい気はする。わてらはついつい「保存を」などと思ってしまうが、しかし寝食をその場で送る渡邊家の方々にとって大風や地震でもあれば被害が懸念されるのだ。ご判断は当然のことである。

また同時に日本で三基しか現存していなかったコルニッシュ・ボイラーも解体となった。年代物でしかも希少品種の機械であるが故に修繕などのメンテナンスも困難となり、これも退役を迎えたのだった。goida隊員が解体中の圧力メーター部分を携帯画像で送ってくれたが、大佐先生が四股を踏んでも持ち上げられないくらいに重かったとのことだ。

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さて、“ゆく萬年”もあれば“くる萬年”もある。昨年師走、渡邊幸一朗専務のご厚意で新たな萬年グッズをカレンダー等と一緒に頂戴したので、ここにご紹介したい。昨秋から、わてにしてはチョー珍しく多忙すぎて・・・もう2月になっての起稿とは(・・;

■くる萬年なのに、ゆく萬年2---萬年新ロゴ前垂れ

まずは、『萬年・無濾過』のロゴで制作された新作の前垂れである。

昨年秋、新装なったこの「萬年」前垂れの存在を知ったのは、ネット上のある場所に写真がアップされていたのを偶然見た時だった。それは2003年に発売なった『萬年・無濾過』のラベルに使われたロゴが入っているもので、販促品を集めている「焼酎日用美術館」を運営するわてとしては、目から垂涎状態となってしもうた。

「なんじゃこりゃああああ!(@_@;)」と、電光石火で電脳郵便送信を行いご提供いただくことと相成った。

この前垂れ、実は蔵元にとって「くる」状態となったその刹那で、これが最後となる去り「ゆく」作品となった。渡邊専務曰く、染色技術的な面で今後この形式の伝統的な前垂れの製作ができなくなったといふ。そのため、これが最後の作品となった由。

今後は新しい仕様での生産になるとのことで、歴史を誇る日本の「ちゃーーーす、三河屋っす!」的商家前垂れの姿は見納めとなる。

前垂れの中心となる『萬年・無濾過』のロゴ。紺屋の前垂れにしては珍しく、●に旭の赤白抜き文字使用がとても美しいワンポイントとして映えている。もともと画像で目にしたときにこの赤のポイントを見つけてタマラン状態になったが、前垂れ染め物史の幕を引く作品ということも相まって、極めて希少な作品例となったと言えよふ。
旧型の前垂れはこれで引退だが、今後は新しい繊維素材を使った前垂れになるとのことで、それはまた楽しみではある。

■くる萬年1---宮崎伝統の酒器、旭萬年銘「鳩徳利」

萬年グッズに新しく加わったのが、旭萬年銘の鳩徳利。

宮崎県伝統の酒器である。尖った尻尾の部分を囲炉裏の熱灰につき刺して温めるもの、ちゅーのは好事家はご承知の通り。酒器類ではこれまで銘入りガラスコップとお湯割り用ポットの存在が確認されているが、専務が蔵に戻ってからの新規グッズはこれが初めてではなからふか。

どこそこの名のある窯元で製作された風格の品、というのもいいんだけど、わてはやっぱり民芸調ではあっても蔵元のネームが入ってるものにこそ値打ちを感じますなぁ。焼酎の酒器は大衆性これ命、ぬぅあんである。

さて、この徳利の生産地は、多くの酒類容器や酒器の製作が為されている岐阜県の美濃焼(多治見焼)であり、その出自は大衆的に由緒正しいものと言える。
ほんと、見ていて、撫でて、飽きない作品である。それにしても、上記画像、くの字にウニャウニャと円を描く意匠はなんだろう。これって鳩の羽根であらふか?

■くる萬年2---ついに出た『黒麹萬年チョコ』!

さらなる「くる萬年」が、焼酎甘党待望の生チョコ『黒麹萬年チョコ』である。

昨年の11月くらいから、なぜかベルギー産のココアぶりぶりのチョコに凝っていたわて。劇的にスリムになられた石原けんじ大佐先生と反比例して、ちと体重が増えてきた今日この頃に、この『黒麹萬年チョコ』の御尊顔を拝することとなった。

製造は、焼酎風味ぷんぷんの名作(とゼリー狂のわてが太鼓判を押す)である『萬年ゼリー』と同じく豊後の菓舗「菊屋」さん運営の『九州焼酎菓蔵』だ。

中身はちょいと粘度の高い焼酎ゼリーを生チョコでくるんだもの。ちょうどチョコに凝っていたわてであるからして、喉が鳴る。箱の中に添付されていたちっちゃいフォークでそっと突き刺して口に運ぶ。

ネチョォーーーーッと外皮のカカオ粉が溶けだして舌にまとわりついたところで、ガブリと中層のチョコを噛み砕き、あんこのゼリーをグチャリグニャリと味わってみる。

どっぷりとエキスにひたったカップタイプの『萬年ゼリー』と比較すると、その焼酎フレーバーは淡白。一緒に試食したカミサンも「うーん、おいしい。でも、焼酎の香りは意外とほのかかも」と宣ふ。

ココア70%、85%ぬぅあんてのをガツガツ喰っていたせいで、相対的に甘味を感じるが、まったりとした感じではなく、爽やかである。焼酎が入っていることで「大人向け」の作品とならざるを得ないが、甘さも一歩控えた塩梅が良ひ。おすすめだ。

■ゆく年くる年、でも変わらぬ萬年・・・暦と芋。

大正の創業から平成の御代も十八年、「ゆく萬年くる萬年」を幾星霜重ねても、今後変わらぬと思われるのは、萬年暦である。

伝統の極み「日めくり」と「日本画美人暦」の、萬年新年豪華二点セットの揃い踏み。ニッポンの正しい正月は此処に有る!(-"-)とつい力みたくなるほどの、美しさだ。大黒恵比寿に唄野桃翠画伯の美人ときて、これほど目出度いことが有らふか? いや無ひ。

新作であって旧作でもあり、古くても新しく、墨守することが次代の有るべき姿として革新たり得ることもある・・・考えてみると、芋焼酎『萬年』の魅力はそういう部分にあるのかもしれない。これらの暦を見ていると、なんだかそげな想いがする。

さて、もうひとつの萬古不変、変わらぬ萬年アイテムは「芋」である。

猛牛「煙突もボイラーも解体・刷新されたちゅーこってすばってん、芋はどげんなっとですか? 芋の自作は?」

渡邊専務「はい、これからも、もちろん芋の自家栽培はちゃんと続けますよ! 新しい耕作機械も買ったんっすよ。家族で作り続けます!」


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