2002.05.08 by 猛牛

■極大〜極小の狭間に揺れる、飲兵衛酒器希求の精神。

「大きいことは良いことだ!」という惹句がテレビを賑わしたのは、もう30年以上も前である。高度経済成長がまさに爛熟した様相を呈した1960年代末〜70年初頭、人々はより巨大に巨大にと、膨張・拡大することの“善”に酔っていたという気がする。

「小さいことは良いことだ!」・・・時代は180度変わった。“サラリーマンは 気楽な稼業とぉ”は行かなくなった平成の御代では、焼酎愛飲においてもごく一部の富裕層を除き、“適正規模”を目指しての愛飲環境縮小化の時代を迎えたと言えよふ。

「ん〜〜ん、ちょっと一杯やりたいにゃん〜(~Q~;)」と思ひながらも、家人の手前、ぐっと堪える。「ちょ、ちょと一杯だけ(T_T)」と三顧の礼で許しを乞ひ、5合瓶を掴む。「あ〜た、家計も苦しいんですから、ちょっとは量、控えてくださいよ、ね(-ー;」などと、釘。「健康は自分で守らなきゃ(-"-)」とトドメ。

1升5合も入りそうな巨大千代香で鯨飲できたバラ色の時代は過ぎ去った。経済的矛盾と家庭内階級闘争を超克するには、「量の自発的淘汰」こそが御聖代における“家内安全+無病息災”の基本テーゼでなのである。

■今まさに、非実用の用=「豆千代香」の時代なのだっ!

という格調高い前説に続いてご紹介するのは、鹿児島県指宿市の吟松窯さんの『豆千代香』である。吟松窯さんの千代香そのものは、『しまづ屋』さんのページで拝見していたが、この豆千代香は薩摩市内で初めて遭遇した。

直径は8センチ足らず。100ccも入るかどうか「?」の、名前の通り豆なサイズ。棚にそっと置くようなミニチュア千代香である。どう見ても、実用品ではない。お飾りだ。

しかし、しかしである! 今まさに、リストラクチャリング愛飲生活を支える新たな酒器として「豆千代香」の時代が到来したと、わてはこれを見て直感したっ!

その理由は、非実用の用とでも言ふべき、その豆な容量である。一見、実用的には見えないが、そこにこそ、時代趨勢の変化による別視点からの有用性が照射される得るのだ。

飲兵衛諸氏なら、とてもじゃぁないが、一口サイズでは満足できまい。しかしながら、その極めて限られた量そのものが、経済的矛盾と家庭内階級闘争という極限状況下においては、ほどよい妥協点を見出し得るサイズとなるのである。

「ちょっと豆千代香で一杯っと!」と堂々と宣言。「健康を考えてね、これだけしか飲まないんだもぉ〜ん(*^0^*)」とシナを作る。「あ〜た、やっと解ってくれたのねん〜(^_^)」などとにっこり。「体、大事にしてくださいよん(*^^*)」とホンワカ。

ん〜〜ん、ぬぅあんと家庭円満であろふか・・・感涙ぃ。

■というわけで、実際の使用感は・・・?。

さて、この豆千代香の思想的ポジションについて紙幅を費やしたが、かく言うわて自身は、未だこの豆千代香を実践配備していない。

なぜか? 

理由は極めて単純である。それは「経済的矛盾と家庭内階級闘争」なるものが、我が家には存在していないからである。



ん?(・・)


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