2001.02.24 by 猛牛

人は何故、巨大な事物に心動かされるのであろうか。信仰を抱くのであろうか。

奈良東大寺の盧舎那大仏像も然り。盧舎那仏そのものが教えにおいて巨大な存在とされてはいる。しかし現実のものとして造形化されたあの仏の壮大さは、鎮護国家完成と国威発揚を願う時の王権の“信仰”のスケールをも現している。人智の及ばぬ圧倒的な存在感や壮麗さに、人は盧舎那大仏像に対する深い尊敬と、それを成し遂げた王権への畏敬の念を覚えたのではあるまいか。

さて、今回ご紹介するのは、昨年11月3日の『本格焼酎の日inおはら祭 IZUROドーム』にて盛大に開眼供養が行われた、“本格焼酎界の盧舎那大仏酒器”とも言うべき『本格焼酎くん巨大黒千代香』である。

直径はなんと250mm! 五合は軽く入るというその容量の壮大さ、蔓の威風堂々とした肉太さ。「二合ではすぐ飲み尽くすばい(~Q~;)」という強度愛飲家諸氏は、熱烈なる信仰心を喚起されるであろう。奈良の大仏は屁で飛ぶかもしれないが、これは屁では飛びそうにない。まさに鹿児島県酒造組合連合会の威信の為せる業か。

本格芋党にとっては熱き崇敬の対象、飲兵衛心の拠り所となる作品である。

「陸奥(みちのく)に黄金(くがね)咲く」と時の王権を喜ばせた陸奥国の金を贅沢に使用した盧舎那大仏像と同様、この『本格焼酎くん巨大黒千代香』においても金文字による豪華な装飾が施されている。

描かれるは、本格焼酎くんの優美で安らかなるお顔、そして「11月1日は本格焼酎の日」という本格焼酎党誇りの真言である。

『薩摩に、黄金千貫(くがねせんがん)、咲く』
『飲むによし 酎の薩摩は 咲く芋の 匂うが如く いま流行なり』

と、『森伊蔵』にレモンを入れて飲む芸能帝都人(わざおぎていとびと)でさえ喜んで詠みそうな、そんな時代となった現在の芋焼酎の隆盛を象徴する超弩級酒器として、大いに喝采を送りたい。

ただしこの巨大黒千代香、非売品である。ぬぅあんとも残念である。大口酒造さんの『伊佐錦』銘入り巨大黒千代香もそうだが、このデカさ、量とペースが勝負のいぢ汚い飲兵衛には文字通り“ご本尊”なのである。ん〜〜〜ん。

といっても、大仏を入れる風呂がないように、家庭でこれを温めるにはどうしたらいいか、という物理的問題は発生する。ストーブを使用していない愛飲家はまず難儀されるであろう。ヘソで千代香を沸かすわけにもいくまいし。でも、欲しいぃぃい(本音)。

ともかく、この巨大黒千代香に相見えるには、今年の『本格焼酎の日』における薩摩での“ご開帳”を待つしかないのである。ひたすら、ひたすら拝みたいと乞い願う日々である。


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