2003.01.22 by 猛牛

■絶大なる『いいちこ』の影響下に・・・。

本格焼酎の市場拡大について偉大な足跡を日本焼酎史に残したのが、麦焼酎『いいちこ』ですにゃ〜。クセを極力少なくして、なんちゅーか、消費者の焼酎への認識を新たにさせたのは、多大な功績として同業者の間でも高く評価されちょるのは、わても実見しちょります。

◇   ◇   ◇

さて、本稿で取り上げるのは、もう一つ『いいちこ』を広く普及させる素となった、あの有名なキャッチフレーズに関してでありまする。

「下町のナポレオン」

まさに名文句! このキャッチフレーズがあのラベル上部に敷かれた帯の中にもし無かったとしたら、本格焼酎の歴史はきっと今とは違っちょったでしょうなぁ〜。

ナポレオン2世の誕生を祝して冠した“ナポレオン”の名が、コニャックの等級を表す言葉に転化したと聞きますばってん。あちらの焼き酒・コニャックの最高級品を表す称号を、本邦の焼き酒である焼酎に持ち込んで、大衆酒でありながらも質が高いと訴求するレトリックと諧謔。本当に素晴らしい惹句ですにゃ。

■偉大なる強引さに、ホの字。

当然ながら、あの味やラベル・デザインに影響を受けた「そこはかとなく『いいちこ』」銘柄がどっと輩出した中で、このフレーズに感化されたものもあったわけでして。今回ここに取りいだしましたる一本は、中でも大傑作として称揚したい気分。

福徳長酒類株式会社さん(福岡県久留米市)の麦焼酎『夢ひらり』

「山ノ手のクレオパトラ」

ですたい。いいねぇ〜、この大衆さ加減! 傑作ですたい。

下町←→山ノ手

という居住地域の階級差の対比は理解できるとしても、

ナポレオン←→クレオパトラ

という意味の断絶が気持ちいい、「クレオパトラ」という超現実的着地。ナポレオンという歴史上の人物の名前からそのままに連動させて、エジプトの王女を強引に玉座に据えたこの力技がスゴイ。

あまりの意味の無さ、あまりのシュールぶり。大衆酒であるからこその良い意味での猥雑なムードが横溢したこの迫力に、衒学的な高尚ぶったレトリックなぞ塵のようにぶっ飛んでしまいますにゃ。このノリに、ほんに惚れちょります。

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というわけで、この『夢ひらり』。本格焼酎のエポックを再認識させてくれる一本として、座右に置いて、大切に撫で撫でしちょります。


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