第4話 2001.12.06 by 猛牛

■飲み過ぎ+寝不足で瀕死猛牛!熱望の寿福酒造へ不退転の決意!
7:30。
ふぅ〜(>_<)。やっと目覚めたと思ったら、隊長以下他の隊員はすべて起床済み。わてだけが高いびきをコキまくっていた不始末。ま、睡眠時間約3時間ちょいという悪条件下とはいえ、恥ずかPぃ〜のだ。

隊長などは、早起きして宿の近くにある露天風呂で斎戒沐浴していたという。ったく! さすが「“ピュアな甲”より年の功」なんである。というわけで、2日目は蔵元急襲の突撃取材観光、いや敢行だっ!

最初は、数年前に筑前の地元誌『FS(フクオカ・スタイル)の焼酎特集号でその御尊顔を拝して以来、ぜひともお会いしたいと切望していた寿福酒造杜氏・寿福絹子氏である。

8:20。
あさり隊員運転によるワゴン車が橋にさしかかった。向こう岸に煙突が見える。それが寿福酒造の社屋だった。

今年5月に人吉にお邪魔した時は、横を通っただけで、ぬぅあんとも残念な筑前帰還と相成ったのだが、今回はその内部に潜入できる。

いやぁ〜、待てば陸路の日和あり。憧れの絹子氏に逢えるのだ。るんる〜ん

さて、事務所にお邪魔すると、またしても奇遇である! 『焼酎楽園』の小林編集長とばったりと出くわした。

寿福さんにしても、この時期は仕込みの真っ最中で最大の繁忙時だ。その模様を見学にいらしたらしい。

ところが小林編集長、昨夜の飲み疲れか、目の辺りが腫れぼったいご様子であった。まぁ、こちとらも目が死んでるは、ロレツが回らないは、人様の事を言える状態ではないが(自爆)

■繊細な味の初留に一同ウナダレ!さすが絹子姉!と女性隊員感心!
作業中の絹子氏を拝見する。るんる〜んなぞと言っているばやいではなかった。

なんという圧倒的存在感であろうか。全身から発せられるオーラが違うのである。真剣勝負の気迫が伝わるその眼差しに、ヤワな男どもなど、ズドンと射抜かれそうだ。

絹子氏「ねぇ、初留が出たから、飲んでみんね。さぁさぁ」

おお!願ってもないことだ、『武者返し』の初留をいだたけるとは! 最初は隊長が試飲。「ん。いいねぇ!」。
わてもいただく。(☆0☆)!!!

ハナタレのイメージとしての“セメダイン臭”はほとんど感じられない。甘く、かつまろやかな味だ。70度という強度数であるが故に、最初はカーーッ!と来るが、後味は繊細な風味が口中に拡がる(セメダイン臭については『球磨の泉』の稿で詳述)

隊員一同、その美味さにウナダレ状態!

絹子氏「あのねぇ。今日は、初留から蒸留、二次仕込み、一次仕込み、順番が逆なんだけど見てもらいます」

実際の工程とは反対に拝見するという、珍しくかつ興味深い見学となった。

二次仕込み段階での焼酎はつまり蒸留前のお酒状態。酸味が強いが、これもなかなかのお味である。

絹子氏「これ見て。ね・・・。きめ細かさっていうか、クリーミーでしょうが。これが、ね、美味しい焼酎のできる、いい状態なのね」

超多忙であるにもかかわらず、絹子氏は焼酎誕生のプロセスを丁寧に解説してくれた。

ところで。男性隊員どもは飲むことばかり考えていたのだが、女性隊員はさすがに視点が違う。絹子氏が蔵の各所にさりげなく飾りつけていた花や小物を見つけて、感心していたのだ。

「さすが女性杜氏。心配りが違うわ!」

その話を帰りの車内で聞いたわては、ガサツさといぢ汚さ丸出しの自分に(自爆)状態であった。・・・やっぱ男はダメねん(T_T)


■“常圧の母”、それは万物に“気”を与える太陽神の如き人だ!
絹子氏のお話を伺っていると、こっちも元気になってくるのはなぜだろう?

原始、女性は太陽であった

という言葉が浮かぶ。わては、絹子氏を見て古代における母系社会の女性首長をイメージする。神と感応する巫女、卑弥呼・・・。

思えば、刀自という女性への尊称は、かつて女性が酒造りを行っていた時代の名残という説もあるではないか。

絹子氏「ほんと。うちは常圧でずっとやってきました。ソフトな焼酎を好む時代になってから、大変やった。ばってん、常圧で通してきて、良かったと思います。焼酎はね、やっぱり常圧がいちばん味がわかるもんねー。減圧は、甲類とどう違うとね?」

まさに“常圧の母”、気骨が違う。球磨焼酎啓蒙“滅減興常派”の総帥SASANABA師ならずとも、応援したくなる見事な啖呵だ。

◇    ◇    ◇

絹子氏が奧から初留の製品化である冷凍した『杜氏きぬ子』を持ってきて、我々に振る舞ってくれた。他のハナタレ物とはひと味違った柔らかさが特徴だ。飲みやすい。そして美味い。飾らない味わいだが、その芯の太さは、まるで絹子氏ご本人のお人柄のようでもある。

絹子氏「いまは親が子を殺したり、子が親を殺したり、おかしかでしょが? 狂っちょる。みんなね、ストレスが溜まり過ぎちょると。ね。だから、飲んでくれる人がすこしでもうちの焼酎でストレスを解消してくれたら、いいと思ってね。・・・飲み過ぎたらダメよ、飲み過ぎたら(爆)。家族の方から『お父さん、一杯飲んだらどう?』って言ってくれるようなお酒が一番!」

“麹の臭い”を振りまいて歩いていると失笑の的であるわてには、とても耳の痛い言葉でありますm(_ _)m。アルコールの過度の飲用がもたらす悲劇について、殊の外、怒りと悲しみを覚えている絹子氏である。

絹子氏「最初の頃、取引させてもらっている酒屋さんから、突然電話が入って来て。『いま一本売れましたよ!』って。ね。ほんなこつうれしかった」

造られる焼酎だけでなく、絹子氏ご自身のオーラが、実際に会った多くの人々に、前向きな“気”を与えたであろうことを実感する。絹子氏の輝きを浴びて、自らも前向きにポジティブにならねば!という、そんな気持ちがもろみの泡のようにふつふつと沸き上がってくるのだ。

もちろん絹子氏のパーソナリティの圧倒的存在感は、単に人物の凄さだけでなく、造られた焼酎そのものの美味さで裏付けられていることはお断りするまでもない。あたしゃ、心底、絹子氏に惚れましたばい。よか大姉様(失礼)ですたい。

◇   ◇   ◇

9:30。
我々は寿福酒造を後にして、次の目的地へと向かうこととした。店の外に出て我々を見送ってくれた絹子氏の姿が、ほのかに残る霧の向こうに滲んで滲んで、消えていった・・・。


第5話へつづく

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