2005.01.31 by 九州焼酎探検隊・焼酎民俗文化財センター 猛牛

■平成16年度 『貴匠蔵』袋 発掘調査概要報告書

1.本遺物出土の状況

 本遺物は昨年暮れ、福岡市の某民家にて歳末大掃除の際、家中に堆積していた塵芥類の中から出土した。同家主婦が塵芥として「福岡市指定ごみ袋9号・家庭用ゴミ袋」に投棄するところを、同主人が発見し阻止。主人の急報により、本隊・焼酎民俗文化財センターに持ち込まれ、副主任・猛牛が本年早々より調査に着手した。

2.本遺物の概要

 本遺物は表面と思われる側に「手造りかめ仕込み 貴匠蔵 きしょうぐら 印」とあり、生産指導地は鹿児島県で焼酎司、本坊酒造製のものと推定される。製造年だが、炭素測定法および某民家における出土層位から、3〜4年前に比定される。

『続焼酎日本紀』などの記紀にも本遺物に関する記述は見られず、生産年の特定に関しては今後の調査発掘が待たれる。

 本遺物は合成繊維製品である。布面は圧着された格子状の模様が入っており、摩擦感のある風合いを有している。袋状に頑丈な縫製が行われ、強度の高さが明瞭である。

 また本遺物は、当センターで現用されている「クリーニング店販売・洗濯物入れ袋 売価105円」と極めて類似した生地および縫製法を使用している点が注目される。単一製造司で製造された可能性が高く、国内に同様な袋を生産し他地域と交易していた職能集団が居住していた可能性が高い。

 用途は様々な推定が可能であるが、一升瓶など大容量大重量物を入れるには手提げ部分の強度が幾分懸念される。市への買い出し袋としても“ちょっとそこまで”的な程度であろう。先の「クリーニング店販売・洗濯物入れ袋 売価105円」との類似性から、同様な用途が最適と考えられる。ちなみに本撮影においても、同等の状態を観察するため猛牛の洗濯物を入れて撮影している。

3.本遺物の価値

 本遺物は焼酎環濠集落内において焼酎人の日用品として使用された物であり、日用品であるが故に塵芥化する度合いが高いと推定される。そのため消滅する可能性が極めて高く、現存する遺物の数も少ない。本遺物も、通報者である主人の妻が遺棄する状態となっており、その証左といえよう。

よって、本センターでは本遺物を「本格焼酎国宝」と同等または類する物と判断する次第である。


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