【K06 アラ自慢】
 初出 2004.07.14  転載 2004.07.16
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「博多では河豚よりアラが旨いと言われとる」
と『美味しんぼ』だか、『博多っ子純情』だかに載っていました。

河豚は大分県臼杵市の山田屋(小室哲哉夫人のKEIKOの実家)で食ったりした事があって、さすが河豚や!と思っていたんです。アラってそんなに美味しいとや?って・・・・。「数学が出来んで何が悪いとや?」(by高校大パニックってな具合に思ってた訳ですよ(爆

いやはや、驚きましたね〜。アラの旨さ。
昨日食っちゃったんですけども・・・・・。

日向灘で取れる26キロの「アラ」を。

こいつをですね、そのまま獲れたてで食っちゃったら駄目らしいんですよ。サクドリして分解して、1週間〜10日程度冷蔵庫で寝かせるんです。大分県竹田市の頭料理ってあるでしょ?あれはアラの生命力をあらわすんですよね。

アラを水揚げする港の臼杵から竹田に運んでも腐らないんですよ。内臓を湯引きする料理なんですけどね。それだけ生命力があって大きい魚は、いけすでストレスを取って、シメて、分解して寝かせなきゃ駄目だって言うんですよ。

で、昨日「熟成が終わった」という料理人の声。以前より彼に頼んでアラ食いを計画してたんですよ。で、男8人が彼の自宅にアラ食いに集まったんです。

突き出しは、アラの内臓と、焼ききり(タタキ)。これに『東長』(佐賀県)の燗酒をあわせます。

アラの内臓(腸)はミミガーのような感触なんですけど、もっと肌理が細かいんですよ。で、焼ききり・・・・。脂が広がるんですよね。動物性の脂ですよ・・・抽象的なんですが。

次はお造り。白身なので肌理が細かいんだけど、脂が乗ってるんですよ。脂が嫌味じゃないんですよ。瞠目ですよ(爆 

でね・・・次はアラしゃぶ・・・・・

もう言葉には出来ません。皮側を最初に湯につけて、そのあとシャブシャブと泳がせるんですがね・・・活性化するっていうんですか・・・甘くしみじみと身がほどけて、脂がころころ染み出るんですよ・・・うひょ〜〜〜〜。そして米の甘さが濃縮した「東長」の燗酒をあわせる、あわせる・・・・・・・・寂として声無し。

次は、燗酒から愛媛の名酒『神錦 うちぬき』に移行します。この酒は、球磨焼酎以外のもろみ取り米焼酎で最も旨い酒と個人的に思いますね。愛媛県西条市の神社が作っているんですよ。愛媛最高の有名人、西条市出身・横浜国大卒業の眞鍋かをりを育てた「うちぬき」湧水で醸した酒です(爆

神錦のお湯割りにあわせるのは「アラ鍋」。

昆布出汁にアラのアラを沈めるんです。目の玉と、唇。『美味しんぼ』でも書いてましたね・・・本当にこの二つは争奪戦になりました。
 
ゼラチン質なんですよ。身も旨いんですが、この二つの部位の「周辺」はゼラチンの層が厚く量が多いんです。もの凄く弾力と歯ごたえのあるゼラチン。これをポン酢に沈めて口に入れるとねっとりと溶けていくんですよね・・・うう・・・脂もやっぱり乗っています。脂とゼラチンという危険な組み合わせですよ・・・・・。

で、最後は雑炊。「想像して下さい永谷園の梅干し茶漬けの酸っぱさを」って石原さとみが言ってますけどね(爆 

私が言います(爆 想像して下さいよ。鍋の中には油がたんまりたまる程なんで何回か漉さないといけない訳です。

その旨みがつまったエキスを濃縮した雑炊を食うと・・・・・。
おお^^^あとは沈黙です。

博多人が河豚より旨いと言ったアラのフルコース。
さすがにさすが・・・・・嘘じゃなかったですわ・・・・。

そうそう、博多人以上にアラが好きなのは唐津人。唐津くんちの振る舞いは、アラを特注の鍋とかごに入れて、味醂一升、醤油一升で炊くわけです。これも疲れた男衆を慰める玄界灘の豪快な料理。

唐津くんちで思い出しました。明日は博多祇園山笠。TV中継でも見ます。

■当該作解題■

平成16年7月に起こった、俗に言う「石原けんじ大佐アラ自慢筆禍事件」と呼ばれる騒動の発端となった随筆である。抗議メールが一日に500通も寄せられて、当時大問題となったもの。

筑前では最も贅を極めた珍味として一般庶民の口に上ることはほとんど無い超高級魚「アラ」を食した感想を、石原けんじ大佐はこのさりげない一文にまとめた。が、その食感表現において、これほどまでに読者の唾液を分泌させる表現が他にあるだろうか。イヤ、無ひ。肩に無駄な力がない平易な表現ながらも、随所に織り交ぜた適切な用語と知識が渾然一体となって、大佐の随筆家としての極めて秀逸な力量を改めて実感させる内容だ。

しかし、その力量ゆえにそれゆえに、「一生に一度食えたら良かばいなぁ〜(T_T)」というマズシー読者層の食欲と怒りを極度に刺激したのもまた事実であった。あの宮武外骨も『筆禍史』を遺した。願わくば大佐も、これから更なる“筆禍史”の頁を貪欲にガストロノミックに書き加えていただきたい。そういう気持ちにさせる名文である。


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