2000.12.25 by 猛牛

九酎産業大学、笑学部 焼酎産業学科教授であります、杜 伊蔵でございます。20世紀もあとわずか一週間足らずを残すのみとなりましたが、今年最後の公怪講座、よろしくお付き合いの程、お願いいたします。

さて最後のお題・・・ではありませんで、最後のテーマでございますが、一大ブームを見た「プレミアム本格焼酎」を題材にしました『焼酎いろは歌留多』というものがございます。これは伝統的ないろは歌留多になぞらえまして、当時の庶民が焼酎に対しての想いを託したものでございます。

今回は新春を迎えるにふさわしい内容としまして、これを読み解きながら当時の本格焼酎好きであった一般大衆の生活観に触れてみたいと存じます。

さて、レジュメ冒頭に記されております「い」のことわざから参ります。

■伊蔵は寝て待て

はい、この意味が分かる方は・・・・?

(教室:ザワザワザワ・・・)

伊蔵と申しましても私のことではございませんで、よく似た名前のあの焼酎でございます。これは自分の可処分所得ではとても手が届かないあの焼酎だけれども、ジャンボ宝くじ以上の期待と諦観を込めて抽選販売に応募した庶民の気持ちを表したものでございます。

あくせくしても同じである、幸運は向こうからやってくるまでじっと待つべし、というご教訓でありますが。富の再分配により自らの可処分所得を上げる、またはあれの価格を下げるなど、能動的・主体的に行動してはならないという、どちらかというと飲衆支配のための方便とも解釈は可能であります。

■論より飲み

これは、本格焼酎についていろいろと一家言呈するよりも、まずは飲んで騒ぐことこそ本道である、という意味でございまして、まさに至言であると申せましょう。百文は一飲に如かず、とも申しますが・・・おろ(-ー;。・・・では次。

■カバとプレミアムには勝てず

これはカバと市場は思うようにはならない、という意味であります。法外なプレミアム価格で売るカバ、それを買って鯨飲するお大尽カバへの、庶民の羨望と失望がないまぜになった、なんとも味わいある言葉でございます。

いまや本格焼酎世界は「野生の王国」状態という寓意も感じられましょう。類語には「泣き上戸と悪徳酒販には敵わぬ」というのもあります。

■憎まれ価格世にはばかる

これも前言と同意でありまして、そこのけそこのけプレムアムが通ると、庶民のか細い財布を蹴散らして横行するプレミアム市場に対する怒りと諦めを表したものと解釈できます。

■仏作って魂入れず

これは桶買いした他社の焼酎に、自社のラベルを貼って売ることを表したということでありますが。ま、これはヒネリも何もない、“そのまま”という一例でございまして、詠み人知らずとなっております。

■下戸の芋焼酎も数飲めば当たる

これは、なにかと臭いで敬遠される芋焼酎ではあるが、数を飲ませれば馴染んで気に入ってしまうという意味でありまして、芋焼酎受容のプロセスを表した極めてマーケティング的ことわざと申せましょう。

余談ではございますが、臭いを減じて最初から飲みやすくするという近道もありますが、それでは銘柄が金太郎飴化するのでありまして、やはり本道に招くという努力が製販、そして一本格焼酎ファンにも必要と考えるのであります。

■獲らぬ焼酎の瓶算用

プレミアム焼酎で一儲けしたい人々の浅はかな欲を嗤った言葉でございます。

■提灯に釣鐘。甲類に本格。

これは“釣り合わない”という意味でありまして、甲類に本格では、味はもちろん、歴史や文化、生活との密着度において比較対照にならないということであります。

おっほん。

というわけで、いろは歌留多を通してみてみました、焼酎への庶民の心情、お酌み取りいただけましたでしょうか。ぜひ正月はこの『焼酎いろは歌留多』でカルタ取りを楽しんでいただくのも一興かと思います。

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さて、これをもちまして、本年の最後の公怪講座と致したいと存じます。

なにかご質問がございましたら・・・・。

(受講者:センセは、年末年始は焼酎は何を飲んで過ごされますか?)

はい。年末年始はちょっと気張りまして『百年の孤独』でもと・・・

(教室:おぃおぃ・・・(-ー;)

それでは皆様、良いお年をm(_ _)m



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