『酔の会』2003年10月の句会 選句一覧 お題「月」
投句者
水蘭
乱幸
兼酔
酔すー
草舟
酔狂
酔乱
酊乱
乱風
酔心
合計
乱幸 月日経ち畑の顔も様変わり                      
1
日中に白く見えてる月が好き                       
 2
何ヶ月待てば大佐は痩せるのか                      
 3
兼酔 月の水面ぐいと飲み切り漏るる一息                      
1
高濃度あけて見やれば揺るる月                      
1
月よ我を帰らせたまへ明くぬ間に                      
 -
酔すー 明るい夜ムンクの死生写す月                      
 1
月見酒寒い月より君の寝顔                      
 4
月冷えに自分で自分の肩を抱く                      
 3
月を見てしょちゅのんごろは何思う                      
-
ガンダムで乗って逝きたい月の国                  
 
 
1
お湯割のグラスの中のお月さん                  
 
 
5
草舟 天高く月は見へねどすすき原                  
 
 
0
命日や透けて黄泉見ゆ蒼い月                      
4
仕覆解き月兎の猪口で十三夜                  
 
 
 2
酔狂 明月やえびのにおわす焼酎屋                      
 3
焼酎や月愛でもせず赤ら顔                  
 
 
1
赤ら顔月明かり差す千鳥足                      
3
酔乱 防人の帰りを待つや月遥か                      
4
月夜野を過ぎればヤッホー苗場なか                  
 
 
-
月極を正しく読めるガキ憎し                          
 
 
 2
酊乱 露天風呂星降る空と月しずく                      
3
満月と明るさ競う火星かな                      
-
信濃路や田毎の里に月見草                      
 4
乱風 波かかる月の向こうに青ヶ島                      
1
月光に浮かび上がるや壱岐の蔵                      
 4
突き抜けるレンガの煙突月までも                      
4
酔心 晩秋の海面に写る月清し                      
4
彼の月に行く人もあり十三夜                      
2
夕ぐれの雲いづこへや月冴ゆる                      
4
■堤 水蘭先生・御講評
今月は、月というお題でしたので、しっとりとした秋の風情が
感じられる句が多かったと思います。
特選の句は、夢やロマンが感じられるきれいな句ということでいただきました。
「突き抜ける〜」は「月まで」と思い切って言った勢いのよさと、
レンガ煙突が焼酎蔵を連想させてイメージが膨らんだところが○でした。
秀句の「日中に〜」は月というお題の中で、
夜ではなく昼間の月を詠んだ視点が良かったです。
■堤 水蘭先生が選んだ!-----今月の正統派『誉められ組』
特選句 :彼の月に行く人もあり十三夜  酔心

秀 句 :突き抜けるレンガの煙突月までも  乱風
秀 句 :
日中に白く見えてる月が好き     乱幸
そして、今月の昇級者は”酔心”さん”乱風”さんです。

さてさて、夜が長くなってきましたね、ということで、
11月のお題は、「夜」(よる・よ)の読みが入っていれば可です。

第3回目にして皆さんのレベルがだんだん上がってきてるので、
今後も楽しみです!
■事務局が選んだ(@_@;)-----今月の異端派『勝手に句じって!』
何ヶ月待てば大佐は痩せるのか    乱幸

正統派が多かった今月の句会の中で、異端派としてまさに「月光値千金」の光を放っていた一句。作者は詠まれた“大佐”なる人物と極めて近しい立場にあると見られる。暦を数えながらも体躯的変化の兆しを一向に見せないその人物に、作者は半ば哀しみ、半ば呆れ、半ば諦めたかのような心情を句に託している。しかしそれは真に諦めたわけでなく、いかにテゲテゲではあってもすべからく仏性を持つ、が故に尊いという、大乗的な慈悲心をそこに見いだすことが出来よふ。句作としては異端派ではありながらも、宗教的な崇高さが漂うところが素晴らしい作品である。

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