(上写真:「猿みてえな岩見ながら、うに喰いたい・・・」と思わせる壱岐の奇勝「猿岩」)
2006.02.27 by 猛牛

2006年2月18日、所用のため3年ぶりに長崎県壱岐市へと渡った。博多はベイサイドプレイスから高速船『ヴィーナス』で1時間。波も静かで快適至極な航海だなや。

前回お邪魔した時はまだ市町村合併になっておらず壱岐郡だったが、現在では4町合併で壱岐市となり、市政施行後初めての上陸となった。

四方を玄界灘に囲まれた海峡の島、壱岐である。とにもかくにも、訪れたならまずは最上の海産物に喰らいつく・・・それに尽きる。今回、久しぶりに壱岐の海の幸を平らげるべく、地元の方から情報を得て、高速船の発着所がある郷ノ浦町は『三益寿司』を訪ねた。

わては同店をちっとも知らなんだけんども、これを書くためにいま検索で上記ページを見つけた。んだら「各テレビの取材。おかげさまで生うに丼の美味しい寿司店で人気をとっております。平成元年には九州沖縄地区の(味100選店に選ばれました)。今年平成16年4月にはブレジデント社dancyu(ダンチュウ)で三益寿司の壱岐のイカ料理を取材して下さいました。」とある。

期せずしてこの『三益寿司』さんにお邪魔したとばってん、実際に喰らってみて「味100選」『dancyu』お手付きの松、その枝振りは伊達ではぬぅあかった。

まず同店女将さんが突き出してきたのは、これ。

左から鰤の真子、海鼠、剣先イカの酒盗、めかぶの酢の物。

鰤の真子は初めて喰った。

筑前生まれの筑前育ち、辛子めんたいの國の住人であるが故に、真子系のツブツブ感は大好きだし、回転寿司では飛び子(安いんだもん)をまずいただくタイプ。喰い方は人それぞれだが、わてはまずモグモグとやり、次にプチプチと上下前歯に粒を挟んでつぶす、ちゅーぬぅあんとも貧乏臭い方法論で毎度対処している。

それにしても鰤とは珍しい。一口、うまいのだ、これが。味付けは上品で、薄口醤油(?)も絶妙な匙加減というところか。タマラン。

中央は海鼠。こいつもわての大好物なのだが、まあ、これまで結構高いものも喰ってきたんやけど、壱岐産の当該物件はまったく別物だった。歯ごたえも独特だし、とにかくグシグシと奥歯で噛みしめた後の風味がぬぅあんとも言えん。サイコーだ!

次いで剣先イカの酒盗。女将さんに「塩辛ですか?」と伺うと、「違います」とおっしゃる。酒盗と言えば「鰹(かつお)の腸(わた)の塩辛(しおから)」を指すが、壱岐名産の剣先イカ「壱岐剣(つるぎ)」を使った独特の一品。

わては塩の塊みたいな土俗的な塩辛・酒盗も好きだけんども、これはとても淡白で気品のある塩加減と風味がある。さすが寿司屋さんだ。それにしても、ほんとタマランのよねん。ああ、旨ぇ。

めかぶの酢の物も、ふだんパック入りや乾燥物を喰らっているわてのような筑前格差社会の住人には目からウロコであった。イイわ、ほんと。

続いて打席に立ったのは、ゆべしをくるんだ卵焼き。柚子の甘辛いマーマレードを挟んだ和風オムレツ・・・と書くと色気もクソもないか。「寿司屋の力量は卵焼きで推し量るんでちゅ」なんち風雅な生活をしたことはないので、「ごくっ」と唸ってただただガツガツと喰った。

瞠目・・・(うっとり)。

ちゅーわけで、真打ち登場。

手前左は壱岐が誇る名物の中の名物「うに丼」。これは小ぶりの特注サイズで、正規版はもっとでっかい。奧は写真を取り損ねた刺身の盛り合わせ。中身は団扇海老に水イカ、鯛、鰤の4点セット。壱岐の海の幸版・無敵のチャーリー・パーカー五重奏団といった風情。

鮮度抜群、歯ごたえ質感ともに通常Modeを超えた鯛や鰤の刺身は、ソロ陣の飛翔をしっかりと後ろでキープするマックス・ローチのドラミングという感じ。次いで「イカの島」と言われる壱岐で剣先イカと並んでタマランのがこの水イカの味わい。歯ごたえは剣先と比べるとやや軟かさがあるが、滋味あふれる味はトミー・ポッターのベース。

そして刺身陣で本命は団扇海老である。これはめっけもん。プリプリ感コリコリ感とその枯淡な味のムードが醸すのは、言うなればパーカーの横でポワッポワッポワッと一聴気合いの抜けた、しかし豪放にブローする俗流と違って圧倒的に存在感のある音色を吹き奏でるマイルス・デイビスちゅーところか。Cool!

さて、真打ちたるパーカーは、うに丼である。壱岐のうには3年前にも感動したが、やっぱり美味い。ほんと、来る度に「タマランですなぁ・・・」の連発である。箸でそっと掬って口に放り込めば、脳髄は「チュニジアの夜(The Famous Alto Break)」と化す。

こっちのそれなりの寿司屋でもいただくことはあるが、どうしても、なんかが違う。やはり知る人ぞしる本場はここにあり、というところか。

〆は握りで・・・・・・と、もうこれ以上、戯れ言の屋上屋は不要であらふ。

壱岐を訪ねて「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ、喰った喰った喰った、美味かった、良かった! なんまんだぶ(-人-)」と、毎度思ふ。筑前も海産物は美味いんだけど、海ひとつ向こうの壱岐のものは、それはまた格別ぬぅあのだ。

確かに高速船往復お一人様八千数百円は、格差社会の波押し寄せる筑前人にとってキツイ金額だが。しかし、やはりこの壱岐の恵みを味わえる幸福感は代え難いものがある。

◇  ◇  ◇

わて「やっぱ壱岐は良かったばい。美味かったあああああ、うにも刺身も寿司もくさ・・・。今度、二人で行かん? 壱岐? なあ」
家人「ワタシ、船、酔うし・・・。また一人で行ってきたらあ?(-.-)」
わて「高速船は揺れんけん、大丈夫ばい! な、今後行こうや!」
家人「Rzzzzzzzzzzzzzzzz!」
わて「(-"-)・・・(ったく、手前ぇが行きたいトコにはさっさと行くクセにくさ)

世の中、

ままならぬものよ、

のほぉ

【完】

(芦辺町にある「はらほげ地蔵」。我が六道の苦患を救って下さるだらふか? 合掌)

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