2001.03.08 by 猛牛

あの怒濤の焼酎コレクター・いで名誉隊員(以下いでさん)が2月に続き、3月6日筑前をご訪問された。前回「兼八」に感動した猛牛へ麦焼酎の神髄を再度講義したいと、秘蔵のものを携行されての再再来福である。迎撃せずにおらりょうか。

猛牛は午後8時前には、筑前本格焼酎党の知る人ぞ知る聖地である中洲の○○○○BARに到着。まず『萬膳庵』のお湯割りを飲みながら、補講開始を待つこととした。さて『萬膳庵』、飲みやすく女性向きという感あり。わてとしては芋の香り・旨味が強い『萬膳』の方が自分に合っているように思った。

日本航空大型兵員輸送機で筑前国際空港に到着されたいでさんは、8時30分過ぎ、コレクトした焼酎の瓶を入れるための巨大旅行バッグを抱えながら、講義会場である○○○○BARにご登壇。さっそくバッグの中から、小さな鹿児島産温泉水ペットボトルを取り出された。

いで:「これが今日のレジュメです。さすがに一升瓶で持ってくるわけにはいかないもので」

聞けば、中身は宮崎県の麦焼酎『○○』だという。というわけでBARのマスターと3人で試飲させていただくことにした。

美味い、いや美味すぎる! 『兼八』は焙煎したような麦の香ばしさが先に立つが、同じ麦の芳香を含みながらも、こちらは一口甘みがぶわぁ〜んと拡がる。

なるほど。いでさんがこれを補講のテーマとされたのは納得。もちろん『兼八』と『○○』、それぞれ飲まれる方の好みがあろうが、双方とも麦焼酎というもの再認識させてくれる名品である。わても目から再度ウロコが落ちましたばい。

いで:アルコールのまんまみたいでツンツンするものが麦なんて、そんなのが常識になってますけど。困ったものです。

確かにそうだ、とマスターと頷く。これを飲むと今までの麦焼酎なるものは何だったのかと改めて考えざるを得ないのでありまする。

さて、当日はいでさん、マスターと3人で、いろいろと飲んだのでありまするが、銘柄は『桜島 原酒』『杜人』『文蔵』など。ところがいでさんの補講を聞いていたマスターが「それほど本格焼酎が好きなら・・・」と、我々の後ろにある棚の奧から秘蔵の一本を繰り出してきた。

佐賀県武雄市・牟田酒造場の手になる『かすとり 本部』である。
(http://www.saganet.ne.jp/sagasake/kuramoto/muta/index.html)

銘柄紹介には『本部』という清酒は無いが、ページの右下にラベルは残っている。古くから親しまれている粕取焼酎だとの説明もある。マスターは相当以前に手に入れたそうだが、ずっとしまい込んでいたとのことで、もちろん未開封。「本当にいいんですか?」と言いながら、さっそくボトルを撮影したいでさんと猛牛であった(^_^;)

さて3人とも生で試してみたが、お味はこれまで飲んだ粕取の中では飲みやすい方で、トライアルには最適かもしれない。しかし粕取というのは独特の味だなぁ〜。やっぱりもみ殻の香りなんだろうけど。

それにしても左写真でもよく解るんですけど、この焼酎、透明ではない。これについてマスターが面白い話をしてくれた。

マスター:「鹿児島の某蔵元さんなんだけど、数年前商品化前の原酒を試飲させてもらって、あまりの美味さにさっそく5本買って店に戻った。その時はこの『かすとり』の様に薄く濁った感じで、瓶の内側に、喫水線の様に油の膜が丸く残っていたんだよ」

ほほぉ〜と、いでさんと猛牛がこの『かすとり』の瓶を見ると、確かに瓶の内壁、空気と焼酎の表面が触れる部分に、鉢巻状に油の膜が残って円を描いている。

常圧蒸留してなにも濾過などかけない、そのまんまを瓶詰めしたのだろうか。というわけで、マスターが続けて・・・

マスター:「ところが、その蔵元さんがその原酒を商品化したんだけど、買って試したら、色は透明になってるし、味・香りも最初に飲ませて貰ったのと比べて、全然大人しくなってる。ちょっとがっかりしてねぇ・・・」

いで:「やっぱりなよったんですかねぇ。濾過かけちゃったのかなぁ・・・。濾過についての認識や程度についても各蔵元さんもまちまちですからね」

というわけで、話が濾過から進んで常圧か減圧か?という話になったのだが、〆としていでさんが一言。

いで:「確かに自分にとって常圧が一番だし、蔵元さんにも本道は守ってほしいなとは思います。でも、こういう場でちびちびと飲み比べるには常圧でいいんですが、実際飲み会や食事では常圧をガンガン飲むのはちょっとキツイかなぁ。減圧と相対的に見て、やっぱり濃くて重いし、料理との相性もありますからね。だから正直、最近はすこし考え方が変わってきたんですよ」

常圧原理主義者として認識していたいでさんから、この言葉が出たのには正直驚いた。しかし、確かに焼酎が場を選ぶこともあろうし、場が焼酎を規定することもあろう。また人間として年と共に嗜好が変わることもある。いでさんの座右の一本が、今後のコレクター道探求の過程でどう変化するのか、とても興味深く思った。

いでさんは、御子息が成人した時の記念として御子息と共に飲みたいと、某泡盛メーカーに5升入りの長期貯蔵用壷入り泡盛原酒を最近発注されたという。

「5升入りの壷って、馬鹿デカイでしょう?置き場所があるとですか?(^_^;)」と半畳を入れたわてに対して、「入らない分、他の焼酎を実家に疎開させました(*^^*)」と照れながら語ったいでさん。

いでさんの怒濤の焼酎コレクター精神が、さらに御子息に受け継がれるであろう、その日の情景がなんだか頭に浮かんで、わても思わず微笑んでしまった。


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