会社。午前10時過ぎ。就業中。
同僚「牛さん、電話ですよ。○○酒店さんからです」
猛牛「あ、どうもすいません。・・・もしもし牛ですが」
大将「もしもし。○○酒店ですけど」
猛牛「あ!大将! ご無沙汰しております。最近ご挨拶にも行っておりませんで。失礼しました・・・・・で、何かあったとですか?」
大将「あの、焼酎のネットをやってる、牛さんでしょ?」
猛牛「はい、そうです。で、大将、どうかされたとですか?」
大将「実は、うちのことを書いてくれたページを見たって県外の方から注文の電話が掛かってくるんですが、ちょっとですね・・・」
猛牛「はい・・・で?」
大将「『○○●○○』とか特定の銘柄ばかり注文されるんで、対応できないんですね。商品もそんなに沢山あるわけではないですから」
猛牛「ええ。わかります」
大将「他にもいい焼酎は沢山あるんでご紹介したいんですが、とにかく『○○●○○』は無いか?というような電話ばかりで・・・。入荷するまで時間も掛かるし、待って下さいというのも申し訳ないですしね」
猛牛「はい。」
大将「私としては実際にお店に足を運んでいただいて、じっくり他の商品も御覧いただきたいと思ってましてですね。商売として実際に来ていただける地元の方だけでいいと思っているんですよ」
猛牛「なるほど」
大将「で、インターネットのことは良く解らんですけど、うちを紹介しているところを取ってもらえますか?」
猛牛「ああ、わかりました。すぐ削除しましょう。いや・・・なんか申し訳なかったですねぇ・・・」
同日夕刻。会社をフレックス退勤。菓子折を下げ、○○酒店へ向かう。
猛牛「ごめんください。牛と申しますが」
女将さん「牛さん・・・ああ、朝、主人が電話さしあげた・・・」
猛牛「大将はいらっしゃいますか?」
女将さん「いえ。いま配達に出てまして。もうすぐ戻るかとは思うんですが」
猛牛「なんかこの度は御迷惑をお掛けしたようで」
女将さん「いえいえ。」
猛牛「注文の電話がいっぱい来てるとお聞きしましたが?」
女将さん「ええ。特定の銘柄ばかりご注文されるんですよね。品物がそんなにある訳でもない上に、飛んでもない本数を送れと言われたり・・・」
猛牛「以前にも大将から『○○●●●●』を5本も6本も注文してきたという話を伺いましたよ。一ユーザーがそんなに飲むわけはないですもんね」
女将さん「対応しきれません、正直言ってねぇ・・・」
猛牛「ご紹介したページに書いていたんですよ。特定銘柄だけの注文はやめてくれと。実際に足を運んでくれと、ですね。」
女将さん「そうなんですか・・・」
猛牛「地元に住んでらして、うちのページで知って、実際におたくに足を運ばれている方々も存じているんですけどね・・・。ほんと電話だけで、同じ銘柄を何本も無理矢理に注文とは・・・」
女将さん「日本酒の○○○さんからも先日電話があって、『おたくはネット販売やってるんじゃないか?』とですねぇ」
猛牛「大将にお伝えいただきたいんですが、取材させていただいた時に出さないでくれと言われたことは守ってますばい。それにうちは焼酎サイトなんで、日本酒のことは一言も書いませんし。多分、地元の個人のユーザーさんが情報を流されたんではないでしょうか」
女将さん「焼酎を広めようと、やってらっしゃるのにね・・・」
猛牛「一般の人たちに喜んで貰いたいと思っていたんですけど・・・。うむ。ところで、○○○店さんからは、そげな話が出たとですか?」
女将さん「○○○店さんからは無かったですよ。別の所からはありましたけど。うちはネットで販売なんてやってないんですけどね。」
猛牛「ええ。存じてます」
配達から同店二代目が帰還する。
二代目「ああ、どうも。」
猛牛「お久しぶりですね。どうも。この度は済みませんね」
二代目「いえいえ、こちらこそ。なんか申し訳ない」
猛牛「まあ、大将のご商売の信念というか、それを汚すわけにはいかんですからね。すぐ削除しましたから」
二代目「済みません、ほんとに。ご注文いただくのはうれしいんですが、とてもお応えできる内容ではなくて・・・、はい。」
猛牛「消費者か業者かしりませんが、ちょっとひどいですね。他にも美味い焼酎はいっぱいあるちゅーに・・・」
二代目「○○県であったらしいですけど、焼酎にこだわった居酒屋を開きたいという業者が買い付けに来たって話があってですね」
猛牛「どげな話ですか、それは?」
二代目「で、ウン十万円分の商品を納品しに行ったら、デカイ倉庫だったって。つまり居酒屋はあるけど形だけで、実は転売目的だったみたいです。別の酒屋さんもやられたらしい・・・」
猛牛「・・・・(まるでビル尻、のような奴らじゃ)」
バスを2度乗り継いで、自宅へと戻る。
『薩摩茶屋』のお湯割りをかっくらいながら、
THE POP GROUP「WE ARE ALL PROSTITUTES」を聴く。