関東では焼酎の市民権は確かに低いのではないだろうか。

 居酒屋などに行くとこれ見よがしに名酒と言われる日本酒の名が連ねられているのを見かける。「八海山」、「久保田」、「田酒」、「越の寒梅」などなど・・・・。こう言うのを見るにつけ、関東はまだまだ日本酒圏なんだなと思わされるのである。

それに引き替え、焼酎となるとどうだろうか。メニューには、「焼酎ウーロン割り」、「焼酎水割り」、「レモンチューハイ」などと飲み方だけ記されている場合が多い。

 つまり、主役であるはずの焼酎の名前が出てこないのである。

 これは一体どういうことなんだろうかといつも考えさせられてしまう。

 多分、関東では焼酎が市民権を得ていない証拠なのではないだろうか。中身が、「樹氷」や「大五郎」でも構わないのである。確かに一般的に焼酎の甲類と乙類の違いについて知っている人は少ないかもしれないが、せめて自分が注文した酒の素性くらい分からなくてどうするのであろうか。

関東では、どうも焼酎=労働者の安酒と言う感覚が強すぎるように思うのは私だけではない筈だ。

 私は今までいろんな酒を飲んできたが、焼酎ほど素朴で味わいのある酒に出会ったことはなかった。素材の持つ素晴らしい主張が盛り込まれ、飲み手を飽きさせない酒なのである。そして、生活の中に素直に気取らずに溶け込んでいけるのも焼酎の特徴ではないだろうか。特別のこともない、それでいて家族の会話を盛り上げてくれる、そんな何気ないシーンに似合う酒だと思うのである。

 お気に入りのカメラを撫でながら飲む焼酎は格別だ。お気に入りの「壱岐」には、ニコンFがよく似合う。つまみは要らないのである。

(文・写真ともJAZZ翁寄稿)


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