−そば焼酎「金砂郷」醸造元 茨城県・剛烈富永酒造店を訪ねて−

 茨城には地焼酎の蔵元が3軒あり、今回はその中の一軒、合資会社「剛烈富永酒造店」を訪ねた。剛烈富永酒造は創業180年を誇る、茨城でも屈指の古蔵である。

 場所は茨城県北部の金砂郷町にある。金砂郷町は水戸黄門の隠居所があった常陸太田市の隣町で、日本でも最も品質の良いとされる蕎麦の一大産地でもあり、久慈川流域の水の豊富な田園地帯でもある。

 金砂郷町は「金砂郷田楽」でも有名で、大祭はなんと72年に一度開かれると言うもので、前々回の大祭は「安政の大獄」の時であったと言う。次の大祭は3年後なので、是非ご覧になると良いのではないでしょうか。

 さて、剛烈富永酒造ですが、この蔵では「時代に迎合しない。伝統の酒造りを守る。」と言うことをモットーにしています。

 代表の富永継則氏にお話を伺った。

JAZZ「こちらの主力商品は清酒「剛烈」ですよね。」

富永氏「はい。+5度の辛口で、甘口が主流の時は全くと言っていいほど売れませんでした。(笑)」

JAZZ「と言うのは?」

富永氏「一般に飲めないような吟醸酒に力を入れたりしていませんでしたし、そう言うお酒は必ず飽きが来るものなんです。変わらないものこそ価値があると思っていますから。時代に合わせた開発はしてきませんでした。」

JAZZ「今は、焼酎の生産にも力を入れてらしゃるようですが、関東では珍しいですね。」富永氏「ええ、焼酎を製造しているのは茨城県では3軒だけですし、栃木、群馬、千葉には1軒もありません。」

JAZZ「ここにあるのは、そば焼酎「金砂郷」ですが、なんでそば焼酎を作ってみようと思われたのですか?」

富永氏「実は、私も全く考えもしませんでした。(笑)」

富永氏「私どもの清酒は関東甲信越、特に長野で好評なんです。ですから、私自身、長野のお得意様には良く挨拶に行くのですが、そのときの密かな楽しみは信州蕎麦なんです。」

富永氏「いつもの行きつけの店で、店主の話を聞いた際に、信州蕎麦でも品質の良い蕎麦には、茨城県金砂郷産の「常陸秋蕎麦」を使っていると聞かされたんですよ。」

富永氏「それで、そんなに品質の良い蕎麦なら何か地場産の製品が作れないかと考えて、そば焼酎を思い立ったんです。幸い、うちには焼酎甲類と焼酎乙類の製造免許があったものですから。」

JAZZ「そうだったんですか。製造は順調だったんですか?」

富永氏「それがね、すぐに壁にぶち当たってしまったんですよ。(笑)」

JAZZ「と、言いますと?」

富永氏「金砂郷産のそば粉はべらぼうに高いんです。外国産の蕎麦が1袋3000円ほどなのに、金砂郷産は35000円もするんですよ。ですから金砂郷産100%のそば焼酎は作れませんよね。それから蕎麦について猛勉強しました。」

富永氏「ようやく、そば粉をブレンドして安定した品質のそば焼酎を作ることに成功したんです。本当は地場産以外のそば粉を使えば簡単なんですが、地場産のそば粉に拘らないと「金砂郷」と言う名前の焼酎にならなくなっちゃいますからね。」

JAZZ「そうですか。難産の末に誕生したんですね。でも、甲類、乙類混合というのは珍しいですね。」

富永氏「はい。これにも深い訳があって。(笑)」

富永氏「うちは先ほども言いましたが、乙類免許を持っていますので、実は乙類焼酎も製造しているんです。ただし、これは「金砂郷」の原料としてですが。」

富永氏「蕎麦で作った乙類焼酎は、香りが強すぎて鼻についてしまうんです。それで、甲類と混合させることでほのかな味わいを引き立たせることに成功したんです。関東では癖の強い焼酎は敬遠されるんですよ。」

JAZZ「そうですか。今日は本当に勉強になりました。是非またお話を伺わせてください。今日はどうもありがとうございました。」

富永氏「こちらこそ、ありがとうございました。今度は是非本場九州の方にも「金砂郷」の感想をお聞きしたいですね。」


 とっても実直な人柄が印象的な富永さんでした。富永さんは金砂郷田楽を全国に知っていただきたいとメンバーと共同でホームページも製作していらっしゃります。

http://www.net-ibaraki.ne.jp/o-isaka/

聞き手:JAZZ
協力 :合資会社 剛烈富永酒造店 富永継則氏
    茨城県久慈郡金砂郷町大里3401 TEL 0294-76-2007


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