2002.06.03 構成/猛牛 情報協力/けんじさん、SASANABAさん

我が輩は甘酒である。しかし、ただの甘酒ではない・・・。

と、ぬぅあんともベタなスタートであるが、今回のテーマは甘酒。それも、現在焼酎に使われる麹の原点、大本ともいうべき鹿児島は河内源一郎商店さんの甘酒なのである。

この品は先だって鹿児島にお邪魔した折に、地元の協力者の方から頂戴したもの。とにかく一度飲んでみてほしいと言われて、甘辛両刀使いのわては二言無くありがたくいただいたのであった。ん〜〜ん、見るからに中味のとろみというか、「生」と書かれたシールが実感!の手触り、感触である。

◇   ◇   ◇

さて、わてにとって甘酒というと、恥ずかしながら“近所のお店から酒粕を買ってきて、溶かして飲む”といったイメージしかなかった。というのも、生まれ育った筑前北部では、わての実家は、大東亜戦争敗戦後に現在の韓国・釜山から引き揚げてきた、いわば余所者。地元での何世代にも渡る土着生活がない。

故に麹と米から甘酒を作るぬぅあんてことも、わては知らずに育ったのであります。

だから、この甘酒の袋の裏に貼ってある一括表示を見て、驚いてしまったのだった(^_^;)。

●原材料/米こうじ 米

ふぁ〜、ええ歳こいて、甘酒とは麹と米だけで作るってことを知らなんだとは・・・まったく浅学の誹りは免れないのであります。

そこで、甘酒についていろいろと知ってみたいという好奇心が湧いて、酒と吸飲文化について極めて碩学である宮崎支隊・けんじさんが管理しているBBS『しょちくれケンちゃん』に、甘酒についてポストしてみた。すると、さらにもう一方の碩学でらっしゃるSASANABAさんからも情報を得ることができた。

いただいた内容が、下記である。とても貴重なお話なのでご了解を得て、ここに再録させてもらうことにしました。

■「猛牛:河内源一郎商店の甘酒」スレッドへのレス

SASANABA > 何十年も前の我が家での甘酒のつくり方:1升がめに、麹(近所からもらう)と柔らかく煮た餅米を混ぜて入れ、こたつ(もちろん木炭)で保温して発酵を待ちました(突っ込んだ足でかめをひっくり返すと悲惨)。米粒が溶けていくのが待ち切れずフライングもしばしば。餅からはじめる甘酒づくりははじめて聞きました。

(SASANABAさんのこのコメントへの補遺)「1升がめ」ではなく、3升かめではなかったかと思い直しています。甘酒シーズン以外は野菜を漬けるのに活躍していたような。甘酒をひっくり返して、べとべとべとべとべとべとべとになってしまい、こたつが巨大な“ごきぶりホイホイ”と化したこともありました。今年は、元旦の初詣での振るまい甘酒を飲んだきりです)

けんじ@管理人 > 河内・甘酒は鹿児島在住の*****さんも絶賛されておられました。さて、私の実家の甘酒は「大関のカップ甘酒」をあっためるか(笑)もしくは吟醸酒の粕を湯で溶き、砂糖、はちみつなどをぶち込む甘酒(甘酒とはいえないかも)を作ります。そういえば昔、南九州では一端餅を作って、それをどろどろに溶かす甘酒の作り方が主流だった(?)そうですが、その辺の詳細を教えていただける方いらっしゃいますか?。それと皆さんの家での甘酒の作り方を教えて頂ければ幸いです。

けんじ@管理人 > 我が家の吟醸甘酒は妹が「美味しんぼ」かなんかを読んで導入(笑)不思議な甘さが特徴です。

■けんじさん別途立ち上げのスレッドより

焼酎の肴では全然ないが(爆)猛牛さんから甘酒の話が出て来たので・・・・・

「河内源一郎商店の甘酒」の中でSASANABAさんが甘酒の作り方を解説されておられる。宮崎市周辺での作り方もこのオーソドックスな甘酒を作ってたらしい。が。

宮崎の旧薩摩藩領(都城市、小林市など)などでは「もち米を蒸してもちに搗いてからこうじを混ぜて甘酒にする方法」があったという。

この地域の爺さん、婆さんに聞くと「今はこの方法じゃ作らんけど、ほぜ(多分、鹿児島及び宮崎西部の薩摩藩領での秋の豊穣会の呼び方では・・・)の時はいっぱい作った。このやり方は長く持つし、美味しかった」という。(以上、日本の食生活大全集45・聞き書き・宮崎の食事・農文社刊)「都城盆地の食」より一部抜書きの部分あり)

この地域の秋の収穫を祝う「ほぜ」には甘酒とこんにゃくをつくって神仏に供え、家族や村うちで祝うならわしがある。

私の祖母も旧薩摩藩領であるえびの市出身なので、甘酒、こんにゃくの刺身のほか、かしわ入りの煮しめ、ぶえん(生)の刺身、またはサバの煮付け、がね(野菜のてんぷらのようなもの)そして焼酎・・・・この取り合わせがいわゆる客をもてなすごちそうであると認識している。薩摩藩の他地域の「ほぜのごちそう」はどうなのか興味ある所。情報をお寄せ下さいませ。

さてそのもちから作る、甘酒の作り方は
1)前日にもち米を水につけておく
2)次の日に蒸して臼の中に入れ、杵で搗く
3)もちが搗けて荒熱が少しとれたころに、こうじを入れてかき混ぜる
4)それをかめに入れてさらにかき混ぜる
5)ねばりが切れるまでよく搗きまぜたら、温度が上がりすぎないように、しょけ(ざる)などでふたをして炊事場のすみにしまっておく。
6)四、五日くらいたつと美味しくなる・・・・

との事。このやり方は失敗も良くするらしい・・・・・

出来あがった甘酒は、二、三倍に薄めてわかして飲む。かめは甘酒専用のもので、保存するときは木製のふたをして風呂敷をかぶせ、ひもでしばっておくとの事。

飲み残りは天日乾燥させてしまっておき、砂糖のかわりに使ったり、そのまま食べたりするらしい。

独特の作り方と使用法である。甘味が貴重だった戦前の田舎では「ほぜ」で飲む甘酒は子供のみならず大人も楽しみだったという。大人の男は直ぐに焼酎に移行してしまうのだが(笑)
こんな事を思い出しながら、コンビ二で甘酒を買った今日このごろ(嘘)

というわけで、本稿のキモは他人のフンドシで相撲という体たらくぶりで申し訳なし(^_^;)。しかしながら上記内容、実体験も交えて、よくご存知だと感心しますですばい。もう、今は見ることが叶わなくなったであろう、甘酒づくりと暮らしの風景が伺われる味わいのある情報と思いますです。

ぜひ“味読”いただきたいと存じます。

◇   ◇   ◇

さて、河内源一郎商店さんの甘酒の。わては麹と米だけで、こんな甘味が出るのかと正直驚きました。一口甘く、後口酸味がパッと拡がって、くどくないとですにゃ。なしてこんなに旨いのか!とびっくり。鹿児島の協力者の方が絶賛するのも納得です。現に、ガブガブガブとその場で全部飲んでしまった(*^^*)。

甘味はダメだという方にはお勧めは出来ませんが、甘辛どっちでもOK!という方はぜひチャレンジしてくださいまし。


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