『ああ、晶子様!の酒』第6回
晶子様 TALKS MYSELF vol.5

2004.09.03 by 晶子様命@猛牛 2005.02.24 再掲載


--ご決心されて、ご自身がいるべき場所、環境に戻られたわけですが、どんなご心境でしたか?

晶子様:蔵に戻ってからは、それでも暫くは将来的に自分が杜氏になるという確固たる自信が持てず、また父を亡くした精神的な弱さがなかなか抜けなくて…。

--はい。

晶子様:ある晩のこと、自分でも不思議だったのですが。触れているお米から優しさやあたたかさが伝わって来るんです。その時、かたくなだった心がほどけたという感じがして。

--ほぉ……。伝統芸能の世界では、芸に開眼する時に鬼神と出逢う、なんてことを言いますが。もしかして晶子様は、「お酒の精」に出逢われたのかも知れませんね(笑)
晶子様:大したことではないかもしれませんけど、この些細な出来事がきっかけで、杜氏としてやっていける!やるんだ!と…。また、自分が蔵を大切に思うほど蔵ときちんと向き合っていなかったんだと思いました。もっと真摯に偽りざる心で造りにかかわらなくちゃo(><)oだめだと。

--んーーん、なるほど!

晶子様
:その後は、「いい酒を造る」という漠然とした思いから、呑む人が故郷を想いホッとする酒、いやしの酒を造りたい、愛乃澤は愛情いっぱいの酒でありたい、そんな酒を造るんだと、いつしか気持ちが変化していきました。


--大きなご心境の変化ですね。

晶子様:そのためには?…無難でいいやという考え方から、もっと貪欲にもの事に取り組もうと、造りの姿勢が変わりました。流行に踊らせられない真の心の酒を醸したい。いま、そんな気持ちをもっています。まぁ、難しくて高い壁ですけれどね(*^_^*)

--素の気持ちを維持するのは難しいと言います。余談ですが、今年にはいって宮崎県の宮崎日日新聞が焼酎特集の記事を連載しています。

晶子様:そうなんですか。

--で、第三部の最終稿を目にしましたら、熊本県人吉市にある寿福酒造場の女性杜氏、寿福絹子さんの「謙虚に、おごらず、まじめに」「こんな時代だから、謙虚にいいものを造りたい」という言葉が〆にありました。わては女性杜氏として共通するなにかを感じますばい。晶子様も、気持ちが変わってさらに積極的になられたわけですね?

晶子様:はい。それからは、積極的に色々な行事に顔を出す様にしたり、なったり。環境も自然と変化しています。情けないけれど、重度な人見知りと場所見知り?な私にとって、それは清水の舞台から飛び降りるくらい?勇気がいりました。

--はぁー、人見知りされるんですか? とてもそうは思えませんでしたばってん(@_@;)

晶子様:今もドキドキですが。まあ、トシをとったせいかワクワクも加わり、楽しい酒屋モン道を驀進中です。業界で出会った方々皆すばらしく、その充実した時を思い出しますと有り難いなぁと。またこれからどんな人と出会うのかどんな出来事があるのか、楽しみですネ。酒屋モン人生が豊になるようこれからも笑って泣いて努力していきます。m(__)m
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昔、ある禅師が仏道に大切なものはと問われ、生き方の基本を述べた。相手から「そんな事は子供でも知っています」と切り返された禅師、「実行するのは八十歳の老翁でも難しいぞ」と一喝したという。

「謙虚に、おごらず、まじめに」ということは、極めて容易いように見えて、最も困難な業である。ふとしたきっかけで優しさに出会い目覚める人もいれば、そんな機会に恵まれず日々を重ねる者もいる。

「触れているお米から優しさやあたたかさが伝わって来るんです」という晶子様の言葉に覚える素直な温かさ。『純米酒・愛乃澤』のぬぅあんとも言を失う瞠目の美味さはそんな心根から発していたのだと、わてはしみじみ思った。

さて、次回からは、晶子様が蔵で行う実作業についてお話を伺う。

(第7回に続く)


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