2000.12.11
■これまでのあらすじ
全国的に売り出し中の焼酎大親分・島津次郎酎は、京都・松尾大社への新酒奉納の代参を、子分「森の伊ゾ松」に頼んだ。おっちょこちょいだが、やたら気位が高い伊ゾ松。薩摩を出立した後、日向、豊後へ抜け、海路瀬戸内海を横断して大坂に上陸、京都に向い、無事に松尾大社への代参を終えた。

帰路大坂から船で豊後へとって返す森の伊ゾ松。乗った船は、豊後から大坂へ麦焼酎を運んだ帰りの積載量“二百万石”を誇る巨大船だった。のんびりと瀬戸を渡る旅の空、船上で旅人と本格焼酎の話をするうちに、やたら本格焼酎にうるさい博多生まれの“江戸っ子”と出会うのだった・・・。

♪旅行けば 薩摩の道に 芋の香り
 水面も清き 錦江湾
 きびなご踊る頃となり
 降り落つ灰の丈も増え
 薩摩全域 良い焼酎の出どこ
 娘やりたや 芋掘りに
 ここは名代の隼人の国
 本格焼酎の王道に
 産声上げし怪男児
 平成の御代に名を上げた
 薩摩森の伊ゾ松を
 不弁ながらも勤めます

伊ゾ松「お前さん、なんだねぇ、大変焼酎に詳しいね」
旅 人「あっしゃねぇ、本格焼酎が好きでがしてねぇ」
伊ゾ松「どうでしょ、どこの国の焼酎が一番美味いですかね?」
旅 人「そりゃまァ、何と言っても豊後でがしょう」
伊ゾ松「へ?」
旅 人「豊後、肥後、日向、筑前なんて言ったら、本格焼酎街道と言ってもいい位で、いい焼酎親分が揃ってますからなぁ」
伊ゾ松「はぁ」
旅 人「味に似合わねぇ、デカイ親分が男を売っているのが豊後。四和の宇佐蔵なんてったら凄いからなァ。この船も宇佐蔵親分の持ち物だからねぇ」

伊ゾ松「ハハァ詳しいなぁお前さんは。いま海道一の本場といえばどこでしょうね」
旅 人「無いね! ありませんね」
伊ゾ松「へぇ?」
旅 人「ありません。同じくらいに肩並べてグイッと図抜けた所はないが、あと二年も経つと現れますよ」
伊ゾ松「はァ?どこですか?」
旅 人「浪花」
伊ゾ松「んん?」
旅 人「浪花。色付酒でお大尽、惨鳥親分のシマでがしょうなァ!」
伊ゾ松「おろ・・・?(-ー;」

訝る伊ゾ松の脇で、いい気持ちになって竹筒に入れたお湯割りを飲んでいた男がガバッと立ちあがって、

江戸子「あああ、うるせぇなぁ、があがあ、騒ぎやがって、ゆっくり飲んでられねぇや。馬鹿らしいから黙っていたんだ。江戸っ子だい、博多の生まれよ。・・・お、有り難ぇなぁ、本格焼酎の話しんなったな。え? 浪花?? ふざけんじゃねぇや。江戸っ子だい、博多の生まれよ。その辛口麦焼酎の水割り・レモンスライス入り呑んでる人、おっ・・・今お前さん、何とか言ったな、おっ二年経ったら海道一の本場ができる? 笑わせやがらァ、海道一の本場が、今立派にあるじゃねぇか!」
旅 人「それは知らなかったが、海道一の本場は一体どこでございましょう?」
江戸子「薩摩の国に決まってらぁ。島津次郎酎、これがケェ道一の焼酎親分よ!!」

♪焼酎呑みながらこの話
 聞いていました伊ゾ松も
 今の話が出たときは
 思わず知らずニンマリ笑い
 持ったソラキュウそっと置く
 待てば海路の日和あり

伊ゾ松「ああ、有り難てぇ、出て来やがったよ(^0^)v。もう親分の名前が出るだろうとさっきから待っていたんだが、やっぱりこういう話は九州ネイティブの関東人に限るねぇ。あン畜生、馬鹿に気に入っちゃったよ、一杯呑ましてやろ。おーい、博多生まれの江戸っ子。若けぇーの。おーい」
江戸子「なんでぇ、いろんな事言ってやがる。・・・俺かい?」
伊ゾ松「お前だよお前だよ、ここえ来ねぇ、ここえ座んねぇ」
江戸子「有り難う」
伊ゾ松「江戸っ子だってなァ」
江戸子「博多の生まれよ」

伊ゾ松「いいなぁ、焼酎呑みねぇ、つけ揚げ食いねぇ。本格焼酎の話をしていたなァ」
江戸子「左様でござんす」
伊ゾ松「海道一の親分はなんとか言ったな」
江戸子「島津次郎酎」
伊ゾ松「うむー、島津次郎酎。次郎酎ってのはそんなに偉いか?」
江戸子「偉いねぇ、偉い。偉いったって、そりゃいい子分をしっかり持ってるからねぇ」
伊ゾ松「呑みねぇ、呑みねぇ、食いねぇ、食いねぇ、江戸っ子だってなァ(#^0^#)」
江戸子「博多の生まれよ」
伊ゾ松「そうだってなぁ、そんなに次郎酎には美味い子分が居るかい?」
江戸子「居るどころの騒ぎじゃないよ、人に美味い美味いと言われる様な子分が二十八人、これを唱えて島津の二十八人衆」

伊ゾ松「ほぉ・・・。島津一家の子分の大勢ある中で、兄、弟の貫禄は問わないが、一番美味いのは誰か知ってるかい?」
江戸子「そりゃ知ってらい」
伊ゾ松「誰が美味い?」
江戸子「島津一家で一番美味いのは・・・」
伊ゾ松「うむ」
江戸子「甲斐家の息子で、政財界に知己を得たのが出世のキッカケ。泥臭い風貌だが、憎めない。割増金焼酎の元祖『伊佐美』。これが一番だなっ」

伊ゾ松「おろ・・・(-ー; あいつには勝ったと思ったがなぁ。ま、俺はあか抜けてるからね・・・、と二番は誰だい?」
江戸子「焼酎最古の記録が残る、郡山八幡が鎮座まします、大口の生まれ。由緒正しきお家柄。薩摩で一番呑まれている一般焼酎とは言え、馬鹿にしちゃいけない。芋焼酎の本道はしっかりと守っている『伊佐錦』、これが二番だな」

伊ゾ松「まァ、俺は庶民的じゃねぇからなぁ、どうも。・・・三番目は誰だい?」
江戸子「最近めきめきと割増額を上げてきた『村尾』だね」

伊ゾ松「あいつっぁ、いつの間にか俺にくっついて来やがったなぁ。と言っても、まだまだ二万円の差はつけてると・・・(^_^)v。で、四番は?」
江戸子「丁寧な造りで関東でも引く手あまたの、『佐藤』だな」

伊ゾ松「ああ、俺は五番だなァ、俺はな。・・・段々下がって来やがった( ̄▽ ̄; だけど否が応でも五番は俺より無ぇだろう、五番は?」
江戸子「九耀」
伊ゾ松「六番は?」
江戸子「小牧」
伊ゾ松「七番は?」
江戸子「いも麹芋」
伊ゾ松「八番は?」
江戸子「古八幡」
伊ゾ松「九番は?」
江戸子「源衛門」
伊ゾ松「十番は?」
江戸子「月の中」

伊ゾ松「ん?そりゃ日向の焼酎じゃねぇか。まだ出てこねぇね、こりゃ。この野郎、俺を知らねぇな。随分つけ揚げ、食いやがったよ(T_T)。・・・十一番は?」
江戸子「紫美」
伊ゾ松「十二番は?」
江戸子「紅椿」
伊ゾ松「十三番は?」
江戸子「島美人」
伊ゾ松「十四番は?」
江戸子「桜島」
伊ゾ松「十五番は?」
江戸子「小鶴」
伊ゾ松「十六番は?」
江戸子「貴匠蔵」
伊ゾ松「十七番は?」
江戸子「うるせぇなぁ、銀行の窓口で呼び出し待ってるんじぁねぇやい。十六番、十七番って」

伊ゾ松「なんだね、詳しいように見えるが、あんまり詳しくねぇな、次郎酎の子分で、肝心なのを一人忘れてや、しませんかってんだ。この船が府内へ着く迄でいいから、胸え手当て、ようく考えてくれ、え〜おい(T_T)」
江戸子「泣いたってしょうがねぇやな。おめえさん、いくら胸へ手当てて考えたって、その他に美味いって言う美味い・・・美味い・・・美味い・・・、あッ、一人有った!!」
伊ゾ松「それみろ、誰だい?」
江戸子「こりゃ美味いや!」
伊ゾ松「おう」
江戸子「法印“大五郎”」

伊ゾ松「いやな野郎だね、こン畜生ぉ、そんな所で“原典”を出すんじゃねぇや。思わせぶりすんな、思わせぶりを。もっと美味いのがあるでしょ、島津一家で一番美味いのが・・・あるんだよぉ(T_T) 考えてくれぇ〜」


































伊ゾ松「千二百五十三番は?(~Q~;)」
江戸子「百年の孤独」
伊ゾ松「あのなァ・・・・( ̄▽ ̄;;」

♪船も府内の港に着きまして
 丁度時間となりました
 ちょいと 一ト息願いまして
 又のご縁とお預かり

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