第二話
2002.04.17 by 猛牛晴彦

■古式床しい大衆料飲の風情漂う『鷹』。とにかく料理がカバ旨!!

『探険隊オヤヂニアリング』、いよいよメインイベントである。鹿児島市内での乱飲狼藉の坩堝、焼酎熱血のリングとなったのは、小料理屋『鷹』。場所は名山町、鹿児島市役所の向かいに、通りを挟んで西日本新聞社鹿児島支局がある。その建物右隣の路地を入ると、すぐに料飲街の入口が見える。そこに『鷹』はある。(上記タイトル画像は店先)

現在では区画整理などで見ることも少なくなってきた、まさに“飲み屋横町”といった風情の空間だ。イメージとすれば、戦後すぐに闇市に併設して出来た料飲街。建物の造りは一階が店、二階が住居といった感じで、店の間口も狭い。焼け跡闇市時代の残照がここに未だある、そこに歴史を感じるのだぁ〜、なんて感慨にグッと浸る。

小綺麗な店舗よりも、大衆の体臭むんむんの“ねぐら”が好きなわては、まずこの料飲街のムードを一発で気に入ってしまった。

店内はと見れば、5人がけのカウンターと、同じく4人も入れば一杯の座敷のみ。この狭さがいい。奧では女将さんが甲斐甲斐しく立ち働いていらっしゃった。

さて、フツーならこういうタイプの店に多くを期待されない向きも多かろうと思ふ。しかしながら、この『鷹』の料理、これがカバ旨だったのだ! 薩摩とは二十数年来なにかとご縁の深い隊長も、この味には大満足。太鼓判だった。

■最初の出てきたんが、きびなごの刺身ととんこつ。とにかくきびなごの色つやが全然違うったいねぇ、これが。実際食べるとまた美味い。味が違う。

■とんこつもくさ、よー煮込まれちょって、味付けもよか。たまらんかった。まさにおふくろの味。

■地鶏のタタキと刺身。わての大好物で、筑前でもよく食べるとばってん、この香ばしさと歯ごたえが、これまたタマラン世界。

正直、美味いと思うた。また食べたい。

■つけあげと豆腐料理(ちと名前失念)。やはり本場の味は違うと実感。豆腐も単なるやっこではないとのこと。
■この唐揚げも絶品。衣のしゃきしゃき感、肉の歯触りに、参りましたです。家庭料理+郷土料理の良さがマッチして、ほんに美味かったですばい。いい風情といい味、文句ありまっしぇん。
■ポット&お湯割りグラスに漂う、しょちくれバカ精神の本義。

というわけで、掛け値無し、ヨイショ無しに大満足の味の連打。まさに胃袋が美味さの群発地震に揺れに揺れている、という感じであった。論より証拠、大皿に盛られた料理があっという間に無くなってしまったのだ。後日談だが、女将さん曰く「あんなに沢山、全部食べてしまったのは初めて見た(@_@;)と(爆)

さて、この『鷹』だが、開業してから25年近くになるという。女将さんも、これまで数多の「しょちくれバカ」の生態を観察されたことであろうが、我等がその歴史の一頁に名を刻むことが出来たのは、極めて光栄なことであります。

というわけで、一献。お供となるのは、まさに大衆性の権化、ポットとお湯割りグラス

千利休ゆかりの・・・ぬぅあんて全く無関係な、なんの変哲もないポットと『さつまおはら』お湯割りコップ。しかしながら、まさに、まさに“しょちくれバカ末代”までも継承されるべき、マストアイテムである。

大衆性横溢するからこそ尊い『鷹』店内において、妙なウンチクを垂れるほどの野暮・滑稽はあるまひ。

因みに、画像中の焼酎もしょちくれ諸兄が持ち寄ったもので、店の定番銘柄ではない。たとえフツーの焼酎ではあっても、まさに「茶に会うては茶を喫し、焼酎に会うては焼酎を喰らう」という禅の精神こそが、『鷹』のような店には相応しいのだ。ひとり悟りの高みから、一般衆生の元に立ち返り救済を図らねば、真の大悟とは言えぬのである。くわぁ〜つ!

て、なんのこっちゃ?。ガバガバと湯を流し込み、焼酎を注ぐ。一口、美味い。

へそ曲がりの隊長とわては、わざと焼酎を先に流し込み、湯を注ぐ。わざわざ本場鹿児島に来て、これ見よがしの反則技(爆)。隊長曰く「そこが探険隊らしいんだよね。ぶっはっはは!」。しょちくれ諸兄、苦笑。

■共同トイレに脈打つ、庶民飲酒生活史の哀感と光芒。

ところで、一旦店外に出たGEN隊員が、しばらくして息せき切って宴席に戻ってくるなり、突然わてにこう言うではないか。「牛さん!牛さん! ちょっとトイレ見て!トイレ! 絶対に見た方がいいよ!(@_@;)

ガバガバといぢ汚くハイピッチで飲みまくっていたわてであったが、すぐさま『太陽に吠えろ』松田優作よろしく“現場”へと急行した。「なんじゃ、こりゃあああああ!」

ん〜〜〜ん。大衆的美食の贅をじっくりとご高覧いただいた後に「トイレとは、ぬぅあんたること!(-"-)」とのお叱りも出よう。しかしながら、20年ぶりに共同トイレと再会したわては、まじに嬉しかった。

私事で恐縮だが、20年前北九州市のとある駅前のレコード屋で店員をしていたことがある。その店は、某駅前にあった闇市時代そのままの共同市場の中にあった。しがない店員の身、バラックの奧にある時代の風雪がひしひしと漂った共同トイレの男性用衛生陶器に向かいながら、明日の我が身を憂いていたのであった。嗚呼、青春。

この新町飲食店組合の共同トイレも、数え切れないほどのしょちくれ男としょちくれ女たちの哀感を、その底に救いとったことであろう・・・。

◇   ◇   ◇

あえてトイレの話を書いたのは、この界隈全体の価値を語るには欠かせないと思ったからである。飲食街総体が、当地の庶民飲酒生活史の光芒を伝える“生き証人”だからである。

話では、最近も2軒ほど店を閉じたそうだ。現在営業中は12軒ほど。市街地区画整理などでこのような大衆的情緒あふれる界隈が姿を消しているし、それは進行中なのだ。実にもったいないと思う。

皆様も鹿児島にお立寄りの際は、ぜひこの料飲街に来て『鷹』で一献傾けられることをお勧めします。けんじさんも絶賛していたけど、ほんといい場所、いい店でした。

というわけで、次は『鷹』店内でのしょちくれ諸兄の生態と焼酎の話へ・・・・。


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