山口県下関市彦島にあるマル幸商事さんの社屋外観
2003.08.16 by ビーフハート

■鯨肉製品の開発に努める「マル幸商事」さん。

6月に当サイト『いよいよ復権か?! 鯨肉加工食品』でご紹介した、山口県下関市は彦島にある「マル幸商事」さんの『くじらカレー』。どーーもこのマル幸商事さんが気になって、ネット上などで検索をかけた。

そしたら『くじら入り・レトロソーセージ』などの別アイテムも製造して地元紙の記事になっていたことが解った。しかし、九州地場のコンビニなどで店頭化されているという情報に、筑前のコンビニを探し回ったが、どうしても見つからない(T_T)

そこで、下関まで実際に行ってみることにしたのだ、地元なら置いているだろうと。それはつまり、マル幸商事さんの現有アイテムの全体像をどうしても掴みたかったからであるん。

◇   ◇   ◇

さて。同社はHPによると大正8年に鯨肉卸問屋としてスタートしたという。北九州市戸畑は日水のお膝元だが、下関はマルハの城下町。マル幸という社名の“マル”もそれに由来するのかもしれない。現在は鯨肉製品のみならず、地元特産のフグや冷凍魚、カニなどの加工も行ってるとのこと。

実際の社屋を見に行ってみようと、先週わては家人と連れだって下関の彦島まで足を伸ばしてみた。彦島の一番西の奧、水産加工団地の真ん中あたりにマル幸商事さんはあった(タイトル画像参照)

当日は日曜日なので、当然ながら事務所に人影はない。しかし、わては“聖地”を訪ねることが出来てうれしかったのである。

ふと事務所の窓を見ると、張り紙が。「くじらファン待望!」だっ!

78年の禁漁以来入荷することが無かったイワシクジラが25年ぶりに入荷したという内容である。わては思わず目頭が熱くなってきた。

最近行われた国際会議だったか、あれでも意図的に科学的データを無視し、一方的に調査捕鯨さえも否定しようという“白人ども”の陰謀が展開された。

わては民族的対立などを煽る気は毛頭ない。しかし、この鯨に関してだけは、日本の食文化として“お前らからエラソに言われる筋合いはない!(-"-)”とキッパリ思ってるったいねぇ〜。

“連中”がどれだけ各国の民族や固有文化を潰してきたか。エエ加減にせい。

■現在判明している加工食品アイテムを概観する。

ちょいと話が堅うなった(爆)。というわけで、家人と行った地元下関での戦利品も含めて、マル幸商事さんの鯨肉加工食品のいろんなアイテムを見ていくことにしよう。

■『くじらカレー』

このアイテムについては先のページでも紹介済み。しかしその後マル幸商事さんに問い合わせさせていただいたわての疑問について、7月上旬に回答をいただいている。それを追加情報としてご紹介させていただきたい。ご協力いただいたマル幸商事のFさんに深謝m(_ _)m

Subject: くじらカレーについて
Date: Thu, 3 Jul 2003 14:51:39 +0900

ビーフハート殿

お世話になります。
少人数の会社ですのでお返事が遅くなりまして大変恐縮です。
以下ご回答になるかどうかわかりませんがお返事いたします。

1.くじらカレーを新規開発、または復活された動機 

  以前、下関市内に”日新”というくじら料理の店がありました。
  その”日新”のメニューに”くじらカレー”がありましたが、
  最近飲食店にて”くじらカレー”を見ませんので皆さんに
  食べていただきたいと思い、商品開発しました。

2.復活の場合、下関ではいつの時代から食べられていたのか。
  (少なくとも私の実家では鯨肉をカレーで食べることは無かったので)

  上記の”日新”があったのが30年くらい前までのようです。
  それ以外でも各家庭ではそれほど一般的ではなかったようですが、
  とにかく”肉といえば鯨”だったとのことで、”くじらカレー”はある程度
  食べられていたとのことです。

3.鯨肉を使う上で、製造的に留意された点

  くじらのニオイがでないように、また、アクがでないように留意しました。
  また、鯨肉は火をとおすとカタくなりますので、ひと工夫しました。

4.味付けの特長

  レトルト臭を消しました。
  また、小さなお子さまから年配の方まで食べていただけるように中辛にしました。
  バターを使用してまろやかな味にしました。

以上、参考になりますかどうかわかりませんがお役に立てれば幸いです。
よろしくお願いいたします。

マル幸商事株式会社

アップが遅れてこちらこそ恐縮であります。さて、このご連絡にて、下関では「日新」という飲食店に「くじらカレー」のメニューが存在した新事実が判明したのは、貴重だった。

わてが北九州市で物心ついてからも、大衆食堂などで同メニューを見た記憶がない。どんなものだったのか食いたかったにゃと、“死んだ子の歳を数える”は無駄か・・・(>_<)

■ミンク鯨赤肉・鯨大和煮

わてにとっての“鯨製品の王道”とも言うべき、鯨の缶詰。当然というか、マル幸商事さんのラインナップに入っていた。うれしいねぇ〜。

これは、家人と立ち寄った長門市の青海島一周観光船乗り場のお土産売場で一店のみ店頭化していたのを発見。めでたくコレクションできた。

大和煮は醤油や砂糖による煮付け。日水をはじめ大手や地場含めて各地にアイテムが存在する。

今回、マル幸さんのものが発見できたのは、文字どおり僥倖であった。

製造年月日表示に「WAO」の文字があり、南氷洋産のものと解る。

日水のものと同様に、上記画像下部に「ミンク鯨は世界で100万頭以上生息しています」の文字がしっかりと明記されている。

わての個人的な意見だが、増えすぎた鯨が他の魚類を大量に食って、それこそ生態系や漁業の体系に影響を与える(現に与えているだろう)と思うのだが、そういうことは反対派には眼中にないらしい。本当の理由は、別のところにあるからだろうな。

先に触れたが、わてと家人は下関に立ち寄る前、同じ山口県は長門市・仙崎を訪れ、青海島の通(かよい)という集落を観光船から眺めていた。ここはかつての鯨漁の基地であり、「鯨墓」や「鯨位牌」などが遺されている。一頭獲れたら村全体が潤ったというが、ちゃんと獲った後に海の恵への感謝を込めて弔いを行っていたのだ。

観光船船上から見た長門市・青海島の花津浦の景観
かつて鯨漁の基地として栄えた青海島の集落「通」
日本人にしろ、イヌイットにしろ、アメリカ先住民にしろ、“無駄な殺生”はやっていなかった。生存のための必要最低限の量しか“天から授からなかった”のだ。食文化と信仰の結びつきもなく、いたずらに殺生を繰り返していたのは実はどっちだったのか?という歴史的認識が少しは欲しいところだと思ふ。

■くじらのジャーキー

これについては、別のメーカーの同種商品を筑前でも見かけてはいる。これも同じく長門市青海島観光船乗り場で一緒に店頭化されていたもので、迷わず購入。

食べ物は食ってみなくては始まらない・・・ということで、貧乏性のわてなので、耐へ難きを耐へ忍び難きを忍んで、開封してみる。

一口、含む。あああ、思い出す、あの懐かしき鯨ベーコンの風味を! 泣きだ!(T_T) 

このジャーキーはミンク鯨とニタリ鯨の赤肉が使われているし、実際赤肉なのだが、なぜかベーコンの香りを思い出した。言い換えれば、ちゃんと鯨の味と香りがするのである。

そこで比較のため、以前買い置きしていた別会社の鯨ジャーキーを家人と一緒に試食してみた。しかしおなじミンク鯨製で肉厚だが、鯨の香りがしない。鯨らしい風味が伝わってこんのだぁ(>_<)

量は別会社が10g多いが、風味ではマル幸商事さんに軍配であらふ。

■くじら入り・レトロソーセージ

ここ数ヶ月、血眼になって探し回っていた品である。まさに“幻”“垂涎”“希少”。

シーナ&ロケッツの鮎川誠が「九州のコンビニは、ポプラばい」と宣伝していた地場コンビニチェーン『ポプラ』に店頭化されたという情報を入手していた。が、そのネタは1年前のものだった(──;

筑前周辺の同店をしらみつぶしに当たるが、まったく影も形もない。『くじらカレー』を棚に入れていたダイエーやその他の大手量販店も覗くが、ありゃぁせん。青海島の観光船乗り場にも無かった(>_<)

今年のわての夏は、この一本を探すために費やされたと言っても過言ではなかったのである。

これは、家人がどうしても登りたいという下関のランドマーク「海峡ゆめタワー」から関門の潮流を眺めた後、隣にあるお土産売場施設でやっとこさ見つけた。

さすが地元である! 大和煮缶もジャーキーも店頭化されていた。わては長かった旅路の労苦がほんとに報われた・・・と店内で恍惚の表情となったんであるん。

「お前をずっと捜していたんだ・・・やっと逢えたな・・・(T_T)」

これについては一本160円と安いこともあって、試食用とコレクション用に2本購入していた。さっそく1本を開封する。

赤いフィルムに包まれているのは、一般的な魚肉ソーセージと同じ。端に切り欠きがあって赤いテープがくっついている。フィルム全体を剥きやすくするための工夫がある。

原料は、練り物の部分に「いとより」「ほっけ」「たら」等が、種物(固形物)として、「くじら」「マトン」「豚肉」が使用されていた。さすがに鯨が全てではない。だとしたら価格も相当上がるだろう。

スライスして、一口一口噛みしめてみる。酒のツマミには、3本から5本一束のチープな魚肉ソーセージが最も好きなわて、こういう商品にはウルサイんである(-ー;。

味はさすがに複合原料なので、フツーの魚肉ソーセージと比べて味わいが深く広い。滋味が口中にブーーーンと膨らむ、というか厚い感じがする。それだけ、旨みがあるということで、いい味やと思ふ。

次に爪楊枝で刺したソーセージから、鯨肉と思しき固形物の部分を前歯でチョロリとつまみ出して噛み砕く(細かいねぇ〜)。確かに鯨だ、鯨の味がする! この風味がソーセージの他の具材と絡み合って、よかハーモニーとなっちょるのが解る。

はっきり言って、これを食った後は、他の魚肉ソーセージが正直なところ、物足りなくなった。それはそれで美味いのだが、味が平板に感じてしまうんですにゃぁ。

「チープな魚肉ソーセージ」愛好家の諸兄には、ぜひともお勧めした逸品だっ!

■全アイテムを統一する、デザインワークについて

というわけで、現在判明しているアイテムの紹介を行ってきたが、ここではパッケージ・デザインについて吟味してみたい。マル幸商事さんのこれらの鯨商品だが、実に良くできたものとなっている。わての家人もとても気に入っている。

カレーと缶詰、ジャーキーとソーセージは、それぞれベースの色が別れてはいるが、全体のデザインをしっかりと〆ている。書体などはレトロチックなイメージで、特に商品名は濁点がダイヤ型となっている同一のタイプで、全体の統一感がしっかりと保たれている。

マル幸商事さんは極めてコンセプチャルに商品化をされている、という印象を持つ。

全商品に共通して展開されているのは、鯨の全体像をベタで描いたイラストである。部分的には、左に示したギリシャ建築の柱みたいな飾り罫や、水揚げした鯨を腑分けする道具を手にした(多分)船員さんのイラストが登場する。

もちろん商品表面のデザイン可能な面積の問題もあるので、全ての意匠が顔を出すわけではないが、こういうデザインワークもよく構築されていると感心している次第。

家人は、これらの作品を見て、『よこすか海軍カレー』を連想したというが、それも一理ある意見だろう。レトロなり復権というテーマからすると、デザイニングの方向性は同一のベクトルに向かいやすいから。

とは言っても、これらのマル幸商事さんの商品群がそのデザイニングにおいて、他社の鯨製品を一歩リードしていることは、出来上がった作品のクォリティからも明かやと思うっす。

◇   ◇   ◇

これらのレトロチックなセンスで統一開発された商品群が、あとどれくらいあるのかは不明だが、ぜひともその全貌も見てみたいものだ。


Beef HEARTFIELD TOP