2003.06.15 by ビーフハート

『日水鯨缶物語』が中絶してから4年弱。

最近は調査捕鯨の進展によって、筑前でもスーパーなどの店先に鯨肉やその加工食品が出回ってきた。まっこと有り難いことである。

精肉の生鮮物や塩蔵物はまだまだ(@_@;)的高値が続いている。しかし、保存性を高めた加工食品については、結構安価に出回り始めている。1945年の敗戦後、日本人にとっての貴重なタンパク質として飢餓を救う役割を担った鯨肉に触れる機会が増えることは、歓迎すべきことだと、わては思ふ。

そこで、これまで“コレクト”した鯨肉加工食品について列記していこう。北部九州において極めて歴史を誇る有名品から、新たに鯨肉食復権の戦列に加わったニューフェイスまで、多彩なラインナップが市場に顔を揃えているのだっ。

◇    ◇    ◇

1)鯨肉加工類缶詰目

●日水『鯨焼肉』ミンク鯨赤肉味付

これは先の『日水鯨缶物語』の主人公である、まさに原点の商品。味的には同系他社商品と比較して唯一無比である。まさに北九州者の味だ。

原料肉については、かつてはシロナガス鯨だったという記憶があるが、どうだったか・・・。

缶全体を覆う黒のカラーリング、商品名の色や書体も当時と変わっていないと思ふ。店頭でも極めて目立つ配色で、一目で「これだ!」と解るほど。

さて。この稿を書くために缶を見ていて気づいた。現在わての手元に、
1)2003.8.31
2)2005.12.25

という賞味期限が記された二つの缶があるが、上面の文言が一部変わっているのだ。

=鯨は日本の食文化 豊かな資源を大切にしよう
=ミンク鯨は世界で100万頭以上生息しています。

よりポジティブなスタンスへと変化してきたようである。

●日水・謹製『鯨焼肉』

これは日水鯨焼肉シリーズの新ヴァージョンで、原料が「ひげ鯨」となっている。

ラベルも和紙風の紙に印刷されたもので、“謹製”という惹句と相まって高級志向が漂うアイテムだ。

これは一昨年だったか、北九州市の実家で今は亡き母が買いだめしていたのを、わてが奪い取った(^_^;)

筑前では、北九州市のみならず、福岡市のダイエーなどでも目撃した。しかし現在ではあまり見かけない。味については同一だと思うが、もったいないので再度開けて確認する勇気はない(苦笑)

缶側面に『鯨は日本の食文化』という文言がしっかりと明記されている。賞味期限は2004.4.25。

察するに01年から02年の間に、先のスローガン変更があったのだろう。

これは黒缶とは違って量が多い。固形量145gで、黒缶の55gと比較すると3倍弱。黒缶も昔はそれぐらいあった。

●日水・『鯨大和煮』

牛肉の大和煮と同様に、醤油ベースの味。『鯨焼肉』と共に息の長い商品である。

これはまさに今日、近所のダイエーで買ったのだが、パッケージがこれまでの物とは変わっていた。ん〜〜〜ん。前の缶を取っておけば良かったぁ(T_T)

皿に盛られた商品写真だった前作から、今回は水面に顔を出した鯨と氷山からそれを見守るペンギンが群れる南氷洋・・・というイラストになって、さらに“シズル感”が増している。

新しい缶であるが故に、「ミンク鯨は世界で100万頭以上生息しています」というスローガンに変更されている。

リパッケージについては、「国際捕鯨取締条約に基づいて、(財)日本鯨類研究所が実施した捕鯨調査の副産物です。捕獲海域は南氷洋(WAO)、北西太平洋(WNP)と缶蓋に記載しております」という事情が絡んでいるのかもしれない。
賞味期限に
WAO/3 2006.3.10
とある。

2)鯨骨加工類酒粕漬目
●鯨蕪骨粕漬『松浦漬』

北部九州、特に佐賀県の玄界灘沿岸地域の特産である、鯨の蕪骨(軟骨)の酒粕漬、『松浦漬』だ。

現在はイカ刺しで有名な呼子町松浦漬本舗さんの代表銘柄で、全国的にも名が知れている特産品と思ふ。

酒粕と言えば、正調粕取焼酎か奈良漬けが頭に浮かぶ。古くから捕鯨の地であった松浦の一帯では、酒粕に軟骨を漬け込むという利用法もあり、それは現代も命脈を保っている。

とにかく、わてが生まれて最初に酒(というかアルコール)に酔った経験というのが、小学校3年の時に初遭遇したこの『松浦漬』を食った時。あまりの旨さに、ガツガツガツ!と一缶ペロリと食べて泥酔、夕食を全部ゲロってしまった(おぃおぃ)。もう、腹一杯詰め込む程、筆舌に尽くしがたい美味だったということですにゃ〜〜。

まぁ、そげな想い出の品でもあるが故に、商業捕鯨の禁止によってこの軟骨粕漬の動向が気になっていたが、現在もこうやって買えるとはうれしい限りであります。

●鯨蕪骨粕漬『玄海漬』

『松浦漬』と同じ佐賀県は、呼子町からほど近い唐津市にある玄海漬株式会社さんの『玄海漬』がコレ。

この商品もガキの頃から店先に並んでいた由緒ある鯨加工食品だ。

画像左はお土産用の包み、左下はスーパーなどで陳列される缶詰仕様のタイプである。

ちなみに『松浦漬』を含むこの3品は、唐津駅前の観光施設で購入。

さて。お土産用を開いて。久しぶりに食べてみた。ふぅ〜〜〜、酒粕の甘くスーッとする匂いと味、軟骨のぬぅあんとも言えない歯ごたえ! タマラン・・・泣けてくる。エエわぁ〜、この味(T_T)

やっぱ、旨い!

缶の説明書きに「吟醸調味粕に漬け込んで」とあって、使用しているのが普通酒ではなく吟醸酒の粕なのだろうか? 興味が湧く。
捕鯨禁止、そして酒粕の減少・・・その谷間にこの2銘柄は存在している。

3)鯨肉加工類レトルトカレー目
●『くじらカレー』

九州の近代捕鯨基地と言えば、日水の北九州市戸畑区、そして本州最西端はマルハの山口県下関市である。

その下関市のマル幸商事さんが発売したのが、この『くじらカレー』。ダイエーにて一箱500円也。

それにしても、遂にカレーにもなってくれたのかと、涙を禁じ得ない。

発売元のマル幸商事さんはもともとが鯨肉の問屋らしい。最近「鯨肉ソーセージ」などの加工品も製造し、新聞で記事になったりと話題になっていたことが、ネット検索の結果解った。

そのソーセージ、今日探して回ったが 未発見!(T_T)

箱の表面、下部にある惹句。「これぞ日本ならではのカレー」。うむ、そうだ、そうである。カレーという外来文化に、ビーフでもポークでもなく、鯨肉という日本ならではの味を主賓に迎えたのだから、この惹句には納得。

捕鯨は明治以前の古くから、日本では行われていた。先の軟骨の粕漬けに見るように、日本人はほとんど余すところ無く、“鯨からの恵み”を賞味したのである。

しかし、江戸末期に日本開国の原因ともなった西欧の捕鯨は、鯨の脂分の獲得を主な目的として、肉などはまったくと言っていいほど食べることは無かった。脂分以外の多くのものを捨て去っていた。近代捕鯨以前に世界の鯨を“乱獲”したのは、いったい誰だったのか?

◇   ◇   ◇

平成の世に、また鯨肉と日本人の関係の「新たな一頁」がまた開かれるなら、なんと嬉しいことだろふ。

徐々に量販店の棚に姿を見せ始めた鯨肉加工品の数々に、わてはかつて北九州市の戸畑で見た鯨肉店の賑わいを、僅かながら重ねたのであった。


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