昭和二十年四月七日、海上特攻として米軍上陸下の沖縄へ向かった超弩級戦艦『大和』以下わずか十隻の第二艦隊は、東シナ海海上にて圧倒的な米軍艦載機の攻撃を受け、海底深く深く眠った。この無謀とも言える作戦の戦死者数、合計三千七百二十一人。自ら死に場所を求めた『大日本帝国海軍連合艦隊』はここに壊滅し、その組織的戦闘の歴史に終止符を打ったのであった・・・。

が、しかし。しかしである。

 その悲劇から55年後の平成十二年八月下旬、横浜の友人より、至急電が突如わてのパソコンにもたらされたのである。

■横浜ごげな本舗隊機密二五○八三五番電(二十五日八時三十五分)
「俺。先日やけどな、横須賀に出張した時にくさ、そこのお土産で『海軍カレー』ちいうのを発見したったい。そいでくさ、今度横須賀担当の部下が行ったときに、10箱ばかり買ってこらせるけん、手に入ったらあんたに送るわ。じゃな」

 この至急電によって、牛心亭こげな本舗参謀本部が色めき立ったは当然であった。あの、あの大日本帝国海軍連合艦隊が“鍋から”蘇ったのである!

これを食べずして、どうする!

■ごげな本舗参謀本部機密二五○八四五番電(二十五日八時四十五分)
「わし。・・・ニイタカヤマ、ノボレ、十二○八!!」

 折り返しの至急電が参謀本部より発信されて一週間後、その『海軍カレー』が届いたのである。さっそく試食・・・これがまさに『大和』主砲・46センチ砲並の爆発的旨さであったのだ。


■“HSB包囲網”を撃破する、乾坤一擲の味!

 現在の国内における家庭用カレーのルーおよびレトルト資源は、“HSB包囲網”と呼ばれる『家帝国』と『SB帝国』に押さえられている。国内のカレー小国はこの包囲網によりスーパーや量販店という生命線を圧迫され、存亡の危機に直面しているといって過言ではない。

 最近、『オリエンタル国』が羽田空港やグッズ店などでゲリラ的に反撃を開始し、オールド・ファンはその二十数年ぶりに見る勇姿に感激の涙を流したのであるが、さらに“HSB包囲網”をうち破る強力な部隊が登場したのである! 

 この二品、まさに往時の二大戦艦『大和』『武蔵』の如く、超弩級の攻撃的美味力を誇るレトルト・カレーなのである!! これは大東亜のカレー小国、その自主独立を刺激する大いなる戦力と言えよう(ずっどぉーーーん!)。

■よこすか海軍カレー
●建造工廠/サイカヤレストランシステム(株) 神奈川県藤沢市
●建造資材/玉葱、馬鈴薯、人参、マッシュルーム、リンゴ、牛肉、食用油脂、小麦粉、砂糖、カレー粉、肉エキス、ビーフォイル、トマトケチャップ、カラメル色素、香辛料、調味料、チャツネ、澱粉、酸味料、蛋白加水分解物
●工  法/機密性容器に密封し、加圧加熱殺菌
●基準排水量/210g×2

※特記事項:明治四十一年発行の『海軍割烹術参考書』を元に復元。さらに改良を加えて美味しく仕上げたもの。

帝国海軍横須賀鎮守府 發
 海軍さんのカレー

●建造工廠/(株)調味商事 神奈川県横須賀市
●建造資材/牛肉、糖類、食用油脂、玉葱、にんにく、生姜、小麦粉、醤油、カレー粉、脱脂粉乳、ビーフエキス、トマトペースト、マンゴペースト、りんごピューレ、食塩、調味料、ゼラチン、カラメル色素、チャツネ、酸味料、香辛料
●工  法/機密性容器に密封し、加圧加熱殺菌
●基準排水量/180g×2

※特記事項:横須賀特産『三浦葉山牛』使用。


■“旗艦”は『海軍さんのカレー』である!

 さて、この二大海軍カレーであるが、前者は海軍の割烹術参考書から復元されたものだが、若干甘め(と言っても、あとから辛さが来る)。後者は、辛さが強くコクが深い、まさに絶品という味。両方ともとても美味しいのである。あくまでも好みの問題ではあるが、わて自身は後者『海軍さんのカレー』を“旗艦”としてお勧めする。

筑前南部にて公試運転中の『よこすか海軍カレー』
 というわけで、この二大海軍カレーのお値段であるが、それぞれ総建造費850円ということである。ひと箱ふた袋入りであるからして、一袋425円! さすがに超弩級カレーだけはある建造費だ。“HSB包囲網”の高級戦艦建造費から比べれば少し割高ではあるが、それだけの戦力的価値はある

 というわけで、カレー連合艦隊の今後の戦果拡大に期待したい。大東亜カレー共栄圏、その解放の日は近い・・・。

この稿を書いてから約2年後となる平成14年6月。東京にお住まいのSASANABAさんという球磨焼酎の研究家の方が、実際に横須賀を探索された記事をアップされた。ここに書かれた海軍カレーの歴史や風土を知る上でもとても有益なものです。ぜひ御覧いただきたい。

http://www.linkclub.or.jp/~amana/2/f-Yokosuka01.html


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